聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第七幕
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後の一個となる。
途端に、雷斗の歯切れが悪くなった。
「あーっと……その、だな……」
「……? どうしたの?」
「えーっと、だな。俺としては、SAOでリンが作ってくれたのと同デザインでもよかったんだけどさ。やっぱりあれは『思い出』にしまっておきたくて……だから、今回は、『新しく進む』っていう意味も込めて、違うのを選ばせてもらった」
そう言って、最後のプレゼントを――――すでに包装紙をはがして、紫檀のケースに入っているばかりのそれを、丁寧に、紗奈に差し出した。
その中に入っていたのは、ペアリング。裏側には、《RIGHT》《SANA》という文字が掘られている。
「……っ! ……雷斗、君……」
「で……その………あの、な」
それから雷斗が言った言葉は、あの二人だけの秘密である。
***
月村刀馬は、無事現実世界に帰還することに成功した。目を覚ますと、転移前と変化の全くない自室。
「……夢だったのか?」
少しだけ疑問に思わなくもないが、机の上に置かれた、やけに丁寧なラッピングを施された箱。サイズ的に、多分刀馬が望んだ《ソレ》が入っている。
刀馬は、これを日頃世話になっている桐ヶ谷時雨葉に渡す予定だった。SAO時代から現在に至るまで、彼女には何度も励まされてきた。大切な人だ。
「よし」
携帯端末を手に取り、慣れないメッセージを彼女に向かって送り――――
そして現在に至る。
「……で、何で琴音までいるんだ?」
刀馬の反対側に、時雨葉が座っているのは分かる。だがその隣に、友人である琴音が座っているのは謎だ。呼んでないし。
「だって、ジンの家でクリスマスパーティやるって言うんだから来ないわけないでしょ。楽しそうだし。悪い?」
「そりゃ……そんなことないけどさ。でもいきなり来たらびっくりするだろ!」
「まぁまぁ。琴音が一緒に来なかったら、お兄ちゃん家から出してくれなかっただろうから」
そう言って苦笑する時雨葉。それには納得である。彼女の兄、キリトこと桐ケ谷和人は、妹たちに対して過保護だ。多分どうにかなるだろうとは思っていたし、どうしてもだめ、という事だったらこちらから赴く予定だった。
だがまさか琴音と一緒に来るとは思っていなかったのだ。
マズイ。彼女の文のプレゼントは用意していない。多分片方だけに渡したらものすごいもめる。どうする。どうする――――
と、その時。
刀馬は、奇妙な違和感を感じて手の中を見た。
――――いつの間にか、そのプレゼントは、二つに増えていた。一つは最初からあったもの。もう一つは、巻かれたリボンの色が違うモノ。
「……」
身に覚えのな
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