聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第七幕
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」を言えたのであった。
ケーキはハリンの手作りだった。昔はよく料理をしたので、多少はコツが分かっていたのもあって、自分でもいいできだと思っている。
「おいしいです〜」
「そっか、よかった」
もぐもぐとケーキをほお張る桃華。それを見て笑う頗臨。
幸せだなぁ。
そう切に思う。
SAOは自分達の人生を変えたが、それが悪い方向へだったのか、と問われれば――――頗臨の答えは、『否』だろう。
確かに、たくさんの人を喪った。Lvがひどく高くて、《神殺し》なんて呼ばれていたけれど、結局はずっと孤独だった。
桃華は、そんな自分にも笑ってくれた。彼女は、自分の支えだった。そして、これからも、自分の支えであってくれると良いな、と願う。
「桃華」
「なんですか、頗臨君?」
彼女の名前を呼んで、やけに丁寧に装飾が施されたプレゼントを、手渡す。
「MerryChristmas。プレゼント」
「わぁぁっ! ありがとうございます!」
顔を輝かせてプレゼントを取り出す桃華。
「うわぁぁ……綺麗……」
取り出されたのは、一つの髪留め。頗臨が桃華に、あの浮遊城で渡した最初のプレゼントと、よく似た装丁のモノだった。
「大切に、しますね」
「うん。ありがとう」
心の底から嬉しそうに微笑む桃華を見て。
ああ、よかった。と、頗臨も思った。
この笑顔に――――僕は、救われている。
***
「紗奈ぁぁぁぁぁぁぁッ!! メリィィィィィィイクリスマァァぁああああああスッ!!」
「メリークリスマス! 雷斗君!」
テンションがおかしくなった陰原雷斗と、いつもと変わらずマイペースの華之美紗奈が、テーブルを挟んで騒いでいる。
「そう言えば凜君は?」
「どーせシノンのところだろ。それよりこれプレゼント。こっちもプレゼント。これもな。こっちも。まだまだあるぞー!」
「わぁぁぁぁっ!すごい!」
いったいどこから取り出しているのか、じゃんじゃんプレゼントを取り出してくる雷斗。それはお菓子だったり、高価な宝石だったり、なんかランニングマシーンらしきものだったり、株券だったり、色々よく分からない。
とりあえずそれを見てさも当然か何かのように喜ぶ紗奈が怖い。まぁこの男(とその親友)と長い間付き合いがあれば一般人的な感覚など消えてなくなるのかもしれないが。
つくづく雷斗がいてよかった、と思える。しかし騙されやすそうなカップルである。その時雷斗はそのIQを生かして彼女を救えるのだろうか。
と、そんなことを誰とも知らない《観測者》が思っていると、無限にも思えたプレゼントが最
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