聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第七幕
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――――ナイスおれ!
理央は内心でガッツポーズを取っていた。
現実世界に復帰するのと、友人たちと買い物に出かけていた朝田詩乃が帰宅するのは、ほぼ全くの同時刻だった。
いやぁ、ほんと危なかった。
あと二分ばかし遅かったら、家にいない…もしくは気を失っている…のがばれたかもしれない。
リアルワールドの敏捷値を全力で使って、広げたサイフやら貯金箱やらを片付け終わるのと、詩乃が部屋に入ってくるのも同時だった。やばいやばい。
ともかく――――
今、理央と詩乃は、無事何事もなく(?)クリスマスケーキを囲んでいた。
「MerryChristmas,理央」
「メリークリスマス、詩乃」
サイダーを入れたグラスを打ちつけ合う。本当はこういう時にはワインとかが似合うのだろうが、残念ながら二人ともまだ未成年である。
「楽しかったか?」
「うん、もちろん。みんな張り切って彼氏のプレゼント探して……」
「そこでお待ちかねのプレゼント渡しタイム」
「……早くない?」
「気にしない気にしない」
笑いながら、理央は(なぜか)丁寧にラッピングされた、小さな箱を取り出した。
「プレゼント。獲得に苦労したぜ……」
「獲得……?」
「か、買うのに苦労したってこと!」
言えない。
知らない男に付いて行って、そこでモンスターと戦って手に入れたとか若干過保護気味の詩乃には言えない。
「と、とにかく開けてみろよ」
「うん」
几帳面にも、リボンをほどき、赤い包装紙を丁寧にはがしていく詩乃。
そして中から出てきた、紫檀張の小さな箱を開けて――――
「わぁ……」
目を輝かせて、微笑んだ。
「気に入ったか?」
「うん。夢みたい……」
そこにあったのは。
かの浮遊城で、理央が詩乃に渡した、ペアリングを通したチェーンネックレスと、寸分の狂いなく同一のモノだった。
「すごい、どうやって……?」
「まぁ……オーダーメイド、かな……?」
嘘はついていないはずである。うん。
「あの浮遊城での思い出を、いつでも見れるようにしたいなって思ってさ」
「うん……ありがとう、大事にするね」
「お、おう」
珍しい、満面の笑みを浮かべた詩乃を見て――――
理央は、熱くなる頬をごまかし切れないのであった。
***
「ふぅん、神道でもクリスマスって祝うのかね?」
「分かりません。ウチは……というか、私は特別ですから」
美守唯奈は、ダウンのポケットに手を突っ込みながら境内の柱によりかかる恋人――――音瀬悠牙に答えた。
悠牙も忙しいだろうに、唯奈の突然の
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