恐怖には限度がない
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霧が晴れて、棒立ちだった2人
イカリが座り込んだと思ったらサソリはすぐにギブアップした
「ふん、これ以上やっても無駄だな・・・おい試験官、オレの負けだ」
「・・・霧の中で何があったか知りませんが・・・それで良いんですね?ごほっ
ならば勝者志村イカリ!」
様子がおかしい
シュロはすでにイカリのもとへ駆け寄っている
オレはありったけの毛布を借り、大慌てでイカリの元へ向かう
イカリの体は冷え切っていて爪の色も変色していた
毛布で包み、シュロに抱きかかえられて医務室へ向かう
寒い、恐いと呟くイカリの手を握り締めるシュロを置いて調理場へ赴く
内側から温めなければ、そう思って簡単なスープを作って持っていく
イカリが壊れる、そう思ったら酷く恐ろしかった
何か自分に出来ることを、そう考えてもオレじゃ何が出来るのか、全く分からない
どうすればいいんだろう
スープを持っているから医務室の扉が開けられない
仕方なく一度床に置いてから扉をゆっくり開く
ベッドの上で、シュロとイカリが抱き合っていた
イカリは泣きながら何度もシュロの名を呼んで、シュロは彼女を抱きしめながら・・・ずっと頷いていた
決して立ち入ることは出来ないと、オレなんかが2人を邪魔してはいけないと思えるほどの・・・
強烈な疎外感
気配を消したまま医務室から遠ざかる
すれ違った医療班の人にスープを託し、1人塔を彷徨う
オレじゃ何も出来ないし、イカリにはシュロがいる
シュロがいればイカリは持ち直す
オレがいたところでどうなる
冷たい壁に背中を預け、座り込む
「・・・オレ、何やってるんだろ・・・」
分からない
何がそんなにショックだったのか
分からない
自分のやりたいことが分からない
死にたくない、だけど、忍びになりたい、でも、この体は忍の仕事は耐えられない
神殿で大人しく生活していても、30になる前に死ぬだろうと言われてきた
パルコの尾のおかげで体力は持ち直しているけれど、長くは生きられない
だけど忍になりたいという気持ちは変わらない
忍になって生きる
ただの我が儘、本当に死にたくなければ養生してれば良い
下忍に合格して、シュロやイカリと任務をこなしてずっと心に引っかかっていた
あの二人は長生きできる
シュロが語ったように、子供を作り、ひ孫の代まで生きることが可能だろう
だけど、そのときオレはいない
オレは
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