第2話
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っくりと扉を開けた。扉の中は、湿っているのかとても涼しいが、視界が真っ暗だった。簪は、持っていた懐中電灯で足元を照らしながらゆっくりと進んでいった。
暫くすると、開けた場所にたどり着いた。そこは、少し広めの部屋の様な処だったが、此れといった物が無く、ただ部屋の片隅にラグビーボールより大きな石が天に向かって真っすぐに立っていた。
それが、簪の運命を左右するとは知らずに。
祠の広い場所は、天井が吹き抜けになっており、天井は木々に覆われ、簡単には見付らない様になっていた。簪は、この祠にこんな広い部屋があることに驚いた。
簪「こんな処が在ったなんて知らなかったよう。」
と周りを懐中電灯で照らしながら言った。その時、目にふと飛び込んできた。一つの物体に焦点が合わさり、其れに吸い寄せられるように近づいて行った。
簪「何だろう、この石?」
と興味と好奇心に打ち勝てず、不意に石の頂点を触れた。
その時、まるで何かに怯える様に森の中の鳥たちが騒ぎ出し、空に向かって、何百匹と飛び立った。簪は、ヒッと身がすくんだ。そして、石の様な物が大きく振動し、きれいに真ん中に割れた。
簪「何,何、何なの、何で勝手に割れるの?」
と混乱、少しだけ後ろに後ずさった。
すると、これが石の様な物なものでは無く、卵だと分かった。なぜなら、割れた石から変わった色の膜に絡まれた変わった生き物が姿を現した。
簪「生まれた!でも、こんな生き物見たことがない。」
と素直に驚きと感動に包まれた。
その生き物は、体長1メートル程の巨大なカタツムリのような外見と体を覆う殻からは触手が何本か出ており、口の様な物が全く見当たらない生き物だったからである。しかしながら、簪は、その異様な生物にまったくと言っていいほど動ぜず、まるで何らかの力に導かれるように自分から歩み寄っていった。
この後、簪が自分の身にこれから起こる事など微塵も思うっていなかった。それが大きな人生の転換点とは知らずに。
簪は、そいつに近づき、ゆっくりと観察した。そして、バックから持ってきた水筒についているコップをそいつに飲ませようとして、気が付いた。
簪「何か、可愛いな。でも、口とかがないなあ。」
と言葉をそいつが理解したのかわからないが、一部の触手を動かした。すると、動かした触手の先端から鋭利なナイフのようなものを出した。
「ザシュ。」
と金属製の水筒を易々と貫き、中の中身を吸い込んでいった。それと同時に金属製の水筒をまるでアルミ缶のように凹ました。
簪は、目の前の光景を驚き、
簪「なにこれ。」
と呟いたが、なぜかそいつの事が愛おしく、思えて不思議だった。そして、まるで、母親のようにそいつの顔を優しく撫でていった。
簪「大丈夫、怖くない、お腹が空い
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