空白期 第13話 「少年と王さま」
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…この世界の文化には少し興味がある。今日も帰る前にわずかばかり街を見て回ろうかと思っておってな」
「そうか……案内したいところだけど今日は客が来るからな」
「気にするな。我はレヴィのように考えなしに動き回ることはせんし、貴様には貴様の付き合いというものがあるだろう。……それに今日のような状況では…………デートだと思われてしまうではないか」
「あのさ、後半何か言わなかったか?」
「別に何でもない!」
「何でもないって……」
「貴様に我ら以外に知り合いが居たことに安心したというか驚いただけだ」
えーと……心配してくれたことに礼を言うべきか、それとも驚いたという部分に指摘を入れるべきか困るな。相手がシュテルとかなら即決で後者を選択できるんだが……。
「そういえば、今の話ってレーネさんにはしたの? 言ったら何かしら力になってくれそうだけど……ディアーチェの性格だとそういうのは言えないか」
「自分で聞いておきながら完結させるな。確かに貴様の言うように自分から言うのは躊躇われるが、話の流れですでに言ってしまっておる」
「そうなんだ。それで?」
不自然な問いかけではなかったはずだが、不意にディアーチェは黙ってしまった。何かしら喉にでも引っかかったかと思ったが、表情を見た限りそうではないようだ。
「……ディアーチェ?」
「……ここ…………と……に…………」
何か言ったようだが、聞こえた言葉だけでは内容が分からない。首を傾げながら少し待つと、俯いていたディアーチェが顔を上げた。何を言うつもりなのか分からないが、頬が赤いうえに決死の表情をしている。
「こ、ここに住んでお前と一緒の学校に通わないかと言われたのだ!」
予想外(聞いた後で叔母の性格を考えると予想通り)の言葉に俺は絶句。その直後、盛大にむせた。
――な……何を考えてるんだあの人は。確かにこの世界の文化を知りたいなら現地で生活してみるのが1番だろうし、ディアーチェの親御さんからしてもここに住まわせるほうが安全かつ経済的に助かるだろうけど。
まだ話が確定していないだけシュテルのときよりもマシではあるが、そういう話をしているなら一言くらい俺に言ってくれてもいいのではないだろうか。ある日突然「今日からディアーチェもここに住むことになった。まあ仲良く過ごしてくれ」なんて言われたならば、さすがに俺も文句を言うはずだ。
「……すまん。もう少し平静に言うべきであった」
「いや大丈夫……聞いたのは俺だし、ある意味聞けてよかったよ」
「そ、そうか……」
そこでお互いに口を閉じてしまったことで空気が一変する。無言と共に空間に何とも言いがたい気まずさが漂い始めた。
な、何か言わないと……でも何を言えばいいんだ?
急に話題を切り替えてもあれだし
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