空白期 第13話 「少年と王さま」
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ように思うだけだ」
「それは……否定できないな」
「まったく……レヴィは相変わらずだが、シュテルはどうしてああなってしまったのか。昔からお茶目な一面はありはしたが、あそこまでひどくはなかったというのに」
それは……叔母に近い環境で仕事をするようになったからじゃないかな。
そう言うのは簡単であり、ディアーチェも納得しそうであるが……彼女は叔母を敬愛している。それを考えると叔母を悪く言わない方がいいのではないかと思ってしまうから不思議だ。彼女以外だったなら、おそらく俺は躊躇いもなく口にしているだろうから。
「じゃあ昔の方が良かったのか?」
「それは……どうであろうな。前よりも自分から人と関わるようになっておるし、口数も増えておるように思える。それは考えるまでもなく良いことだ……しかし、今の性格のまま進むのも」
「何ていうか……考えてることが母親みたいだな」
「長年の付き合いなのだから心配になるのは当然であろう。それにあやつのご両親からも頼まれておるからな」
だからしぶしぶやっている、といった感じで言うディアーチェだが、それだけシュテル達が大切ということだろう。口にすれば顔を赤くしながら否定するだろうから言わないでおくが。
「そっか。でもたまには自分のことも優先しろよ」
「案ずるな、そのへんはちゃんと理解しておる。……が、今のところ我にはシュテルやユーリのような目標がないからな」
レヴィの名は出ないんだな……まああの子に目標なんてなさそうだしな。毎日を楽しく過ごしたいって感じのことはありそうだけど。
「ディアーチェも昔からレーネさんの手伝いとかしてたんだろ? 何か興味を持つものってなかったのか?」
「確かに色々とやりはしたし、一応デバイスマイスターなどの資格も持ってはおるが……」
さらりと言われたので聞き流しそうになってしまったが、今ディアーチェはデバイスマイスターの資格を持っていると言ったよな。シュテルよりも勉強できるという話は聞いていたので驚きはしないが、取ろうと思っている身としては思うところがないわけではない。
「シュテルやユーリほど興味は持てなかったからな。それにレーネ殿のようになるかと思うと、見守る側で居らねばという思いもあるし……」
その気持ちは……痛いほど分かるな。ここ最近はなくなったけど、前はよく貧血や栄養失調で倒れたって話を聞いてたし。そういうので倒れる割りに疲労で倒れないのが不思議だけど。
話している間に場所はリビングに移り、俺はお茶の用意をする……わけだが、会話を途切れさせたくないのか、純粋な気持ちからかディアーチェも手伝ってくれた。彼女のような子と一緒になれた人間はさぞ幸せな家庭で過ごせるのだろう。
「じゃあ、今は何にも興味がないのか?」
「いや…
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