聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第六幕
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あれば――――『楽しい』と、感じていたのではないのか?
――――否。たらればの話をする意味はない。
そうして雑念を振り払い、シールドスキルの発動。双盾を次々と打ち出し、似非サンタを穿って行く。
もう後は、各々が一撃を入れるだけ。
「一気に決めるぞ!」
「「応!!」」
***
実際のところ。
融合サンタが弱いのか、と言われれば、そんなことはない。充分にアインクラッド時代のフロアボスモンスタークラスの実力はあるだろうし、同モチーフのSAOクエスト用モンスター、《背教者ニコラス》と比べれば圧倒的に強いだろう。平凡なプレイヤーが一人で挑めば、相当苦戦したはずなのだ。
しかし。
しかしだ。彼は、戦う相手をどう考えても間違えた。最悪の相手に挑んでしまった。
一人は絶勝の勇者。
一人は常勝の英雄。
一人は天才の狩人。
どう考えても、勝てるはずなんて、最初からなかった。
「せぁぁぁぁぁっ!!!」
ライトの握った漆黒の二刀が凄まじい速さで打ち出される。秒間十発。それが、その斬撃の内容。連撃数”無限”。まともにシステムに記録されているソードスキルならば、全SAO中最高の連撃数を誇る、あらゆるゲーム内要素を価値無きガラクタとする剣技。
《勇者剣》最上位ソードスキル、《ブレイヴ・ゴッデボリューション》。その効果は、「相手のHPが尽きるまで、剣技を放ち続けること」。つまりこの技を繰り出したが最後、例えばとある世界でのアスリウのように「何らかの技に由来するダメージを受けない」という異能や、ヒースクリフのように「そもそもHPが減らない」といった鬼畜じみた機能を持っていない限り必ず勝利できる。
つまりは。
この時点で、サンタの敗北は決定したも同然。
だが、それでもまだまだ終わらないのだ。
「おおぉぉぉぉッ!!」
親友に迫らんと、純白の英雄が駆ける。リンの携えた眩い二刀が閃き、永遠に等しい間、連撃を繰り出していく。秒間に三十発を超える恐るべき速さの斬撃達。それもまた、対となる勇者の剣と、全く同一の権能を誇る剣技。
《英雄剣》最上位ソードスキル、《ヒーロー・ゴッデボリューション》。威力ならば《勇者剣》のそれに一歩劣るが、その速さは全スキル中最速。時を止められる者や、例えば「対象よりも必ず速く動ける」権能を持っている者でもない限り、この剣技についていくことはできない。
これで、敗北はより万全になった。
だが、絶望的なことに、それでもまだ終わらない。
「いぇぁぁぁぁぁっ!!!」
《狩人》ライトの手には、いつの間にか黒と白の二色で構成された大太刀が握られていた。彼のオリジ
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