暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜神話と勇者と聖剣と〜
聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第六幕
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「おおおおっ!!」

 左目に映る《未来》を決定付け、愛刀《八雲》を振るう。現実世界で鍛えに鍛えた剣道が、仮想世界でもその力を十全に発揮し、流麗な一撃を決めた。

「HOOHOOOO!?」
「チェェィ!!」

 半月形を描く、鋭い胴打ち。それによって似非サンタクロースはソリから弾き落とされる。

 次の瞬間、左目に写る光景。ボロボロになったサンタが、ソリとトナカイと合体する異様な場面。

「させるか!」

 浮いたままのソリとトナカイ怪人へと向かって、神速の斬撃。

 《月光石火》の一撃が、やっぱり脆かったトナカイコンビを粉砕した。同時にソリも壊れる。硬い。木で出来てるのかと思ったら、ダマスカス鋼だったらしい。まぁ、もう関係ないのだが。

 左目のビジョンが消える。『決定付けた』未来を打破すると、どうやらその未来は効力を失うらしい。

 あの《天宮》が与えたプレゼントでおかしくなってしまった《千里眼》も、今回ばかりは役に立った。今後どうなってしまうのかは分からないが――――と言っても、またSAOの技能を使う世界に至るかどうかは、分からないのだが。

「そりゃぁ、もう命は掛けないに越したことはないよな」

 苦笑する。

「よっしゃ、頼んだぜ、アツヤ! アクト!」


 落下していくサンタにむかって、蒼銀の閃光が(はし)る。アツヤだ。双大剣がうなりを上げて、似非サンタを葬らんと輝きを放つ。


『来たぜ!アツヤ!』
『さぁ、弾き飛ばしましょう!』
「応!」

 二つの声に後を押され、アツヤは頷く。

「墜ちろォォォォッ!!」

 《悪我》と《性》を振りかぶり、《双大剣》のソードスキルを発動させる。

 切りつけ、切り上げ、突き刺し、引き裂く。

 爆発するような激しい乱撃が、似非サンタの巨体を次々と穿っていく。無数のモンスターを葬ってきた上位剣技《エンドレス・レクイエム・バースト》。

 討伐されるモンスターへの手向け。鎮魂の剣技――――総勢二十七連撃。

 アインクラッド第七十五層で、フロアボス《ザ・スカルリーパー》を打倒したその連撃の威力は折り紙つきだ。赤装束はちぎれ、体もボロボロになったサンタが、吹き飛ばされてゆく。

 そしてその先には、巨大な双盾を構えたアクト。
 

 アクトの脳内で、最善の行動パターンが算出されていく。彼の桁外れの知識と知能が、その全てを後押しする。

「ふっ!」

 絶妙な角度と勢いで衝き出された盾が、サンタの激突を攻撃と判断。《双盾》スキルのカウンターダメージが発生し、サンタをさらに追い詰める。
 
 この瞬間。
 
 アクトは、わずかに、心の隅で感じた。

 ――――もしこの時。自分に感情があったので
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