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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
曇り鏡
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りか、本人がそれを否定しているのだからな。これ以上の矛盾はそうあるまい。
だが、早苗が守護者という概念を知ることで、それに縋る可能性が少なからず出てくることを思えば、嘘を吐くのも仕方ないだろう?
二度と私と同じ存在を生み出してはならない。例え理想そのものが間違いではないとしても、犠牲による平和が肯定される訳ではない。
だいたい、恒久的平和を条件に英霊になるなど、人間として持ち得るポテンシャルの全てと数え切れない功績を挙げたとしても不可能だ。
それこそまさに全能と呼ぶに相応しい、ヒトが物語の中で創り上げた全能の神でもなければな。

「と、とにかく。その申し出は有り難いけど無理だけはしないで欲しい。私のせいで君に何かあったとしたら………」

「大丈夫、これは私の意思であって強要されてのものではありません。貴方が気に病む必要はどこにもありません」

にとりの真意を測りかねた早苗の的外れな言葉が、ひどく哀しく響く。
気遣いのつもりだった筈が逆に傷つけてしまうとは、皮肉にも程がある。

「―――そうだにとり、あの機械のことなんだが」

「―――あ、うん。なんだい?」

無理矢理とも思える話題変換に、にとりが反応する。
彼女の視線は、私が何が言いたいかを察した様子だった。
今ここで早苗に物を説いたところで、弁論による熱が冷めていない状況では暖簾に腕押しとなるのは確実。
ひとまず時間をおいて、忘れられるなら忘れてもらう。
帰ってすぐに直談判しないよう、帰路でアフターケアをしなければな。

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