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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
曇り鏡
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で冷戦ではないか」
「私も知りませんでした、まさかこんなに深刻な状況だったなんて」
関係者である早苗も、この事実に驚愕の色を見せる。
当然だ。これだけ近くで争いの火種が近付いているのであれば、驚かない方がどうかしている。
「流石に天狗達もこれを期と見て征服に掛かろうとはしないだろうけどね。仮にそれが成功しても、採算の取れる損害で済むとは思えない。すぐに社会崩壊するのがオチだね。それがあの方達がわかっていないとはとても思えないし、今は安心していいんじゃないかな」
「………だがもし、ここで争いが起こった時、君達河童はどうするんだ?」
「………私達も妖怪の山の歯車である以上、戦いに参加する義務が生まれる。地力が圧倒的に劣る私達は、武力による謀反という選択肢が存在しない。どんなに嫌でも、自分達が存続する為には、そうするしかないんだ」
にとりの身体が震える。
それは怒りか、悲しみか。
感情の奔流を臨界点ギリギリで必死に押し留めている姿は、とても痛々しい。
いつの時代も、争いは望まぬ者ばかりが蔓延る。
避けられたかもしれない戦争も、政治的な理由で浅慮に走る。
そんな丼勘定のせいで、財産である市民を平然と散財し、見返りで得られる財産ばかりに目を向ける。
ひとつの生命として、同一の存在として見ていないから、そんなことが簡単にできる。
私の考え方が全てではないにしても、そう考えさせる要因があるということだけに偽りはないと断言できる。
「君達には、機械の力があるじゃないか。戦力に関しては悲観するほどかね?」
「無理だよ。天狗は個人で竜巻を作り出せる能力を持っている。数でも質でも劣る時点で、最早抗うだけ無駄なんだよ。第一、私達は戦う為に機械を扱っているんじゃない。機械が素晴らしいものであるということを、証明したいだけなのに、どうしてこんな―――」
沈んだ表情で語る。
私は幻想郷の科学技術がどれ程まで発展しているかを知らない。
だが、もし外と同等、或いはそれ以上であるならば―――勝つ方法は幾らでも思い浮かぶ。
しかし、それをにとりに告げることはしない。
彼女は戦いそのものを嫌っている。そして、種族の異なる人間を盟友と呼び、分け隔て無く接する純粋さがある。
そんな優しい存在に、血の海を生み出す手段を与えて何になる?そんなもの、彼女を苦しめる楔になるだけだ。
中立で在りたいという願いは、決して被害者になりたくないからという排他的な理由ではない。
争いという行為そのものに嫌悪感を抱いているから、それに干渉することを由としないのだろう。
それは、弱さではない。
どんな境遇に陥ろうと意思を貫き通そうとすることは、決して簡単なことではない。
社会の歯車
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