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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
他が為に生きる者達
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なんて得てしてそんなもの。
だが、彼女はまだ良い方だ。何せ相手が子供だからな、大人ばかりの上下関係よりもよっぽど気楽だ。
………だが、彼女は生真面目過ぎた。だから教師が一人しかいない現状から、自分がやらなければという強迫観念が生まれてしまった。
いつの時代も、真面目な者が損をする。逆に言えば、真面目であればあるほど世渡りが下手と見なされる。
不真面目な者はより楽な方へと自身を傾ける努力をする。結果は二の次、ある程度の功績や名声さえあれば満足をする人種だ。
そして、私と彼女はその対極に位置する。結果を求めるが故に、自身の潜在能力を度外視することも辞さない。自分自身は二の次、結果の為ならば、極論として身体が壊れても構わないとさえ思えてしまうような、そんな哀しい人種。
人によっては、優秀過ぎたが故に結果を出し続けないと存在意義を見出せなくなった者や、私のように過去の経験からの罪悪感から、という者もいる筈。
結果を出し続けることによって、周囲が期待していると錯覚する―――それが事実である場合も少なくはないが―――。それにより行動に拍車が掛かる。
そして、そんな彼らを漁夫の利によって食い物にしようとするのが、不真面目な人種だ。
そんな輩が大半だから、自然と真面目に生きる人間は減ってしまった。正直、天然記念物と言ってもいいだろう。
真面目に生きる者が報われないなんてことは、あってはいけない。
そしてなによりも―――同じ苦しみを持つ存在を、放ってはおけない。
だからこそ、私はお節介にも彼女を救いたいと、そう思ってしまった。

「期待されていない、か。その発言の全てを鵜呑みには出来ないが、貴方の言う通り子供達は今の私を慕ってくれているならば、無理をしてでも高みを目指す必要はないのかもしれない。それを気付かせてくれただけでも、貴方には感謝してもし足りない」

「役に立てたのならば幸いだが、別段特別なことを話したつもりはない。第三者の意見を
もっと参考にしていれば、私との対話も当たり障りの無いものだと理解できた筈なのだ。………たった独りの教師という重圧が、他人の評価を訊くのを拒んでいたのかもしれないが、これからはもっと他人に頼ってみてはどうかね?」

「頼る、か。どうやら誰かに頼られるあまり、自分が頼る側に傾くという考え方そのものを失念していたらしい。―――はは、導く者が導かれる者の目線に立つ姿勢を忘れるとは、なんとも馬鹿げた話だよ」

「間違いを犯さない完璧超人なぞ存在しない。間違いを素直に受容するその姿勢こそ、君が子供達に伝えてやるべき正しい人間の在り方だ。自分のミスを糧に、子供達を導けると考えれば、良い勉強になったとは思わんかね?」

「―――そうだな」

すっきりとした面持ちを見て、
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