魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり2
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の方、急いでね」
『了解』
その通信を最後に、その場から動きだす。目的地は戦場だが、目的は突入ではない。むしろ潜入というべきだろう。戦闘の混乱に乗じて、最深部へと侵入する。先に突入した武装局員達が文字通り命がけで持ち帰ってくれた各種の情報を元に、クロノやなのは達を囮にして、だ。だからこそ、
(それに見合うだけの働きはするわよ)
慎重に、しかし迅速に。最深部――プレシア・テスタロッサの元へと向かう。
とはいえ、
(私はあくまで状況の一つに過ぎない)
私に万が一の事があった場合、エイミィに指揮官を代行するように命じてある。もっとも、誰が指揮を取ったところで、私達が失敗した時点でアースラに残された戦力で事態を収拾する事は不可能になるが――失敗したのが私だけなら、まだ可能性は残る。
「プレシア・テスタロッサ、終わりですよ」
幸い、最深部への侵入は成功した。そこで、八つのジュエルシードを従えたプレシア・テスタロッサと対峙する。今さら言うまでも無い事だが、相手は大魔導師とまで称された稀代の魔導師である。その彼女が、たった一つでも小規模次元震を発生させるロストロギアを八つも従えているのだ。おおよそ考えられる限り最悪の状況の一つである。
「あら……。前線に飛び出して来れる様な骨のある指揮官がまだ管理局にいたのね」
プレシアの反応は落ち着いたものだった。それも当然だろう。今の彼女であれば、私を始末する事くらい造作も無いはずだ。それも、単純な出力の差でねじ伏せられる。そんな事は分かっている。
≪エイミィ、お願い!≫
どれだけ楽観視したところで――どれだけ都合のいい条件だけに目を向けたところで、
私の魔力では全く勝ち目などない。だが、それがどうした。
≪了解です!≫
足りない部分は外から補えばいい。そう……。例えば、アースラに搭載された動力炉などから、だ。
一個人の身体に収まりきらない魔力が身体から溢れだす。だが、無駄に霧散させる気などない。それは私の制御下で、羽となって背中に広がる。これは、私自身が編み出した独自の手法。おそらく、目の前の大魔導師とて知りえない、私だけの魔法。
ただし、これはあくまで補助に過ぎない。本命は別だ。
≪ディストーションシールド展開を確認≫
必要な魔力を確保した事で、ようやく目的の魔法が発動する。軋みを上げていた世界がほんの僅かに平静を取り戻した。それを認め、プレシアが舌打ちする。
「次元震は私が抑えます。それに――」
アルハザード。その名前は、魔導師なら誰もが知っている。いや、魔導師ではない子どもでも知っているだろう。それくらいに有名だった。
「全ての秘術が眠る、忘れられた都アルハザード。そんなものは、存在するかも曖昧なただの伝説です」
それは、よくある伝説として有名だった。ど
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