魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり2
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。今の状況でなおアタシ達を味方だと思っているなら――それこそ、あの女は心の底から狂っているとしか言いようがない。
『なら仕方ねえ。強引にぶち抜くしかねえが……』
やれやれと言わんばかりにリブロムはため息をつく。あの光の相棒だけあって、ふてぶてしいまでの余裕だった。
『問題はオマエらだけでそれが出来るかな?』
にやにや笑いながら、リブロムは言ってくる。確かに光がいてくれれば、この程度は窮地にもならない。そう思わせるだけの実力が、あの男にはある。例え、得体の知れない衝動に囚われていたとしても。
一方、主や光の妹は、お世辞にも万全の状態とは言えないし、残念ながら――いや、むしろ幸いにしてか?――彼ほどには荒事に慣れ切ってもいない。
(いや、フェイトならいつかきっと光にだって勝てるけどね!)
誰にともつかない言い訳をしながら、取りあえず最寄りの傀儡兵を殴り飛ばす。とはいえ、いつでもお手軽に倒せるような相手ではない事くらいは百も承知だった。
(緻密な動きが出来る訳じゃないけど、単純な出力で考えるならAクラスの魔導師に匹敵するはずだからね……)
単純な力比べに持ち込まれでもしたら、数で圧倒的に劣るアタシ達なんて瞬く間に壊滅させられてしまう。光やクロノとかいう執務官のように一撃で確実に破壊できるなら問題にはならないが、そうでないなら――
(スピードで引っ掻き回す!)
それは狼を素体とするアタシにとっては得意分野だと言えた。群れの統率をかき乱すように跳びこみ、本能が命じるままに蹂躙する。確実に仕留める必要はない。どれほどの牙があろうが、コイツらの本質は哀れな子羊だ。群れからはぐれればそれで終わり。あとはこちらの群れの仲間達が仕留めてくれる。それに、
「アンタらごときお呼びじゃないんだよ!」
隊列が乱され、棒立ちになった木偶人形に魔力を乗せた拳を叩き付ける。完全に破壊で来たかどうかは分からないが、いちいち確認する気も無い。
アタシ達の狙いはただ一つ。この先にある駆動炉だけだ。
そして、アタシの役目は主を無事にあの女の元に辿り着かせる事である。
それなら、
「黙って――」
それ以外のものは道端に転がる小石も同然だ。
「這いつくばってなッ!」
そんなものは、ただ踏みつけ蹴散らせばいい!
『よう、狼の姉ちゃん。今日は随分と良い女じゃねえか!』
傀儡兵の包囲を突破したなのはに抱かれたままリブロムがご機嫌そうに笑った。
「ハッ、今さら気づいたのかい!」
このぎょろついた眼は飾りか何からしい。今さら何を言っているのやら。笑いかえすアタシの横を、フェイトがすり抜けていく。
「みんな、急いで!」
壁に手を触れさせながら、フェイトが叫ぶ。いや、違う。主が触れているのは壁ではなくて――
「行くよ、なのは!」
「
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