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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり2
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然だろ」
 二人の返事に頷き返してから、最後の一人に声をかける。
「ユーノ、お前は悪いが僕についてきてもらうぞ」
 さすがに一人でこの防衛網を突破するのは厳しい。それに、突破する事が目的ではないのだ。その後に高確率で生じるであろうプレシア・テスタロッサとの戦闘を考慮するなら、せめて一人くらいはサポートしてくれる人間がいて欲しい。能力的にも立場的にもユーノを選ぶのが妥当だろう。
「分かってる。地獄の底まで付き合うつもりだよ」
「心配するな。ここの最下層より下まで行く気はない」
 全員で生還するつもりだった。いや、全員を生還させるつもりだった。でなければ、申し訳が立たない。それに、あの世界の住人にこれ以上恨みも買いたくはない。
「この先にある螺旋階段で二手に分かれよう。アタシ達は上、アンタ達は下。分かりやすいだろう?」
「そうだな」
 アルフの言葉に頷くと同時、再び機械人形が襲ってきた。全く煩わしい。適当に蹴散らしながら――というほど楽でもないが、とにかく排除して進む。この程度の相手にいちいち時間などかけていられない。
「あの!」
 程なくして分岐点――つまり、螺旋階段まで辿りついた。上にも下にも大量の機械人形が配備されているのが分かる。強行突破もここからが本番と言う事だ。そんな場所で、フェイトが声をかけてきた。
「あの、その……」
「心配しないでいい。最下層に辿り着いたらちゃんと君を呼ぶよ。だから、それまでは駆動炉の方を頼む」
 フェイトはプレシアに何か伝えたい事があるのだろう。何となくだが、そんな気がした。それを邪魔する気はない。フェイトは一方的に告げられただけなのだから。それに、
「お願いします!」
 深々と頭を下げてから、螺旋階段を上っていくフェイトの背中を見送ってから呻く。
(最期のチャンス、か……)
 多分、それが彼女達が言葉を交わす最後の機会となる。何故なら、御神光を蝕む『魔物』を鎮めるには、プレシア・テスタロッサを殺害するしかないのだから。
(クソッ、何だってこう――)
 何に毒づき、何に怒り、何を呪えばいいのか。その結論はひとまず棚上げにして、僕らは螺旋階段の底へと向かって走りだした。




『……なぁ、嬢ちゃん達よ。オマエらの家の番犬は飼い主にも噛みつくように躾けられてるのか?』
 アタシ達の行く手を遮るように蠢く傀儡兵どもを見て、光の相棒だとかいう本――リブロムとやらが言った。
 そりゃ作ったのがあの鬼婆だからね――とは、さすがに主の手前言葉にする事は出来なかったが。
「まぁ、そんなに複雑な命令に対応できる訳じゃないからね。近づく奴はみんな追っ払えとかそういう大雑把な事しかできないんだよ」
 それでもさすがに敵味方の判別くらいはできるはずだが。けどまぁ、今さらと言えば今さらである
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