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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり2
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い、チビ。さっさと封印しちまいな』
「うん!」
 光の妹さんが駆動炉に向かって舞い上がる。それと同時、アースラから連絡が入った。
『みんな急いで! あと五分くらいで次元断層が発生しちゃう!』
 そのオペレーターの声を肯定するように、時の庭園が大きく揺れた。
『あのガキどもは何やってんだ?』
『クロノ君とユーノ君だけじゃプレシアさんは止められないみたい!』
 悲鳴のように彼女は言った。クロノ達はすでに母さんの所に辿り着いているらしい。とはいえ、まだ決着がついていないようだ――と、つい安堵を覚えそうになった。
『ったく、仕方ねえな……。まぁ、いいか。そろそろ相棒も正気に戻りそうだしよ』
 これが最後のチャンスだがな――と、リブロムは小さく呟いてから、私達に言った。
『つー訳で、オレ達も急ぐぞ。オマエらさっさとこの狼の姉ちゃんに抱き付け』
 言うが早いか、リブロムはアルフの腕の中に舞い上がる。
『早くしろよ』
 理由は分からないものの、促された私達はアルフに抱き付く事にした。まぁ、アルフはアルフで良く分からないらしくきょとんとした顔をしていたけれど。
『よっしゃ、行くぜ!』
 リブロムの声と同時、突然床が抜けた。――少なくとも、その瞬間はそう思った。
「にゃあああああああああああッ!?」
「何これ何これどーなってんのさ!?」
『コイツは本来地面に潜り込んで攻撃を回避したり不意打ちしたりするための魔法だ。だが、使い方次第じゃこーいう事も出来るんだよ』
 床を無視して一直線に最下層に向かっているらしい。凄い早さだった。こんな時だけど、ちょっと楽しい。だけど、そんな気分もほんの一瞬の事だった。
『構えろよ。そろそろ最下層だ』
 リブロムが言うが早いか、私達は最後の床を突き抜けて最下層に降り立つ。そこには、ボロボロになったクロノとユーノ、同じく消耗しきったリンディ。そして、
「さぁ。『門』が開くわ。これで、私の願いは叶う!」
 奇妙な魔法に取り憑かれた母さんの姿があった。
「ダメ! 母さん、やめて!」
 思わず叫んでいた。ジュエルシードが開いた『門』の向こう側から、得体の知れない力が伝わってくる。確かに、その力ならアリシアを蘇らせる事が出来るのかもしれない。でもダメだ。その力に頼ったら、母さんも姉さんもきっと不幸になる。そんな事は絶対にさせない。なりふりなんて構っていられなかった。強引にジュエルシードを封印しようとする。無茶は承知だ。私の身体が耐えられなくてもいい。
『臨界点突破! 次元断層が――!』
「人形が邪魔をするな!」
 それ以前に、母さんの魔法で焼き尽くされるかもしれない。でも。それでも、
「あなたは私が守ります。私があなたの娘だからじゃない。あなたが私の母さんだから」

  ――世界が終わるとしても
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