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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
幻想郷放浪記
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けた。

「いらないと思ったのなら売るなり捨てるなりして構わないぞ」

「――施しは受けん」

「そんな大層なものではない。一方的に貰った扱いでも構わないし、捨ててあったものを拾った程度の認識でも構わん。私は貸し借りなんて関係を望んでいる訳でもない。言ってしまえば自己満足に過ぎん。だから気にせず貰っておけ」

それ以上は彼女も口に出すことはなかった。
衣服が破けている状態でいるのは彼女としても嫌だろうし、妥協してくれた様子。

「礼は言わんぞ。次にまみえた時、刀の錆にしてくれる」

「まったく、嫌われたものだな。それに誤解だと何度も言っているだろうに」

「哨戒天狗としての立場ではなく、私個人として、貴様に敗北したことが許せないのだ」

………やれやれ、どうやら私は面倒を抱えてしまったらしい。
まぁ、あの重圧を受けた時点で嫌な予感はしていたさ。
溜息を吐き、立ち上がる。

「念を押して言わせて貰うが、私はここが天狗の領地だとは知らなかったのだ。無知を棚に上げて言い訳するつもりは

ないが、せめて明確な線引きを作ってもらわんと、おちおち安心して付近を歩けん」

と言うか、今までの被害者の中には、私と同じ扱いを受けた者も少なからずいたのではないだろうかと予想する。
はっきり言って、彼女は短気だ。本気で天狗の領地とやらを護りたいからなのだろうが、そのせいでいらぬ被害を出し

ているようでは半人前と言える。
口には出さないが、上司の方も能力に期待できそうにない。部下の育成に力を入れていないからこうなるのだ。

「では、さらばだ。出来ることなら先程の忠告、上司にでも伝えてもらえたら有り難い」

期待半分の願いを最後に、今度こそ立ち去った。
いずれお仲間が彼女を見つけてくれるだろうし、ここが天狗領地内ならば放置していても危険はあるまい。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


守矢神社の屋根の上でほくそ笑む影。

「意外と紳士的な奴だな。いや、お人好しと言うべきかな」

影の正体―――諏訪子はエミヤシロウと白狼天狗との一連の行為を観察していた。
エミヤシロウがどこへ向かうかまでは予測できなかったが、私にとっては幸運、彼にとって不幸にも天狗の領地に侵入してしまうというアクシデントが発生した。
不幸は連鎖し、よりにもよって天狗内でも爪弾き者である哨戒天狗のひとりと出くわす。
これ幸いとばかりに私は穏便に事を済まそうとする彼に呪いを植え付けた。
その効果は、人間のみを対象とした強制服従。
純粋な人間でなくとも、人間としての因子―――つまり血や前世など、ありとあらゆる方法で遺伝子から情報を引き出し、それが濃ければ濃いほど効果は重みを
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