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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
幻想郷放浪記
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るのは如何ともしがたい。逆に言えば、ただ殺すだけならば一瞬で済

む話だったのだ。
そんなハンデを背負う必要のなくなった戦いの焼き増しが、現状とも言えた。

「でやあああぁぁぁ!」

大きく上段に振りかぶった段平を紙一重で避け、その遠心力で背中に回し蹴りを食らわせる。
確実に背骨に響いただろうが、人外ならば問題なかろう。

「貴、様――!!」

「喋るな、傷に響く」

俯せのまま吠えるだけの姿を見て、最早立つ力は無いと判断する。
骨折まではいかないにしろ、確実にヒビのひとつは入っている筈だ。同時に神経が麻痺していても不思議ではない。
握られた段平を無理矢理解き、遠くに投げ捨てる。これからやることを考えると、獲物を持たれていては危険だからだ



「触るな、何をするつもりだ………」

苦痛に呻くように抵抗する声が、彼女の状態を説明するには充分な情報だった。

「いいから大人しくしていろ」

おもむろに彼女の着ている服を破き、骨折の時に使われる感じの板と包帯を投影する。
一瞬の間に現れた道具を見た白狼天狗は、目を丸くしている。一応さっきも同じ事をしていた筈なのだがな。
慣れた手付きで応急処置を行っていく。
紛争地帯を渡り歩いていれば、どうしても物資が足りず苦しむ市民が出てきてしまう。そういった時に私は投影魔術を

用いて何度も応急処置の為の道具を造り、処置を施してきた。
十や百では足りないほど繰り返してきたそれは、最早医者をも唸らせる境地にまで到っていた。

「………なんのつもりだ」

「何がだね」

「何故、こんな真似をしている。先程まで斬り合っていたのに、お次は敵に治療を施すだと?気でも違っているんじゃ

ないか」

こんな状態でも減らず口を叩けるのであれば、問題はなさそうだな。

「先程も一応言ったはずだが、あの時までは本当に体調不良だったんだ。それを証明する手段も持ち合わせていないし

、君にとってはただの見苦しい言い訳にしか聞こえないだろう。だから信じて欲しいとしか言えない。この治療も、故

意ではないとはいえ怪我をさせてしまった詫びに過ぎん」

「………にしては挑発的な言動も吐いていた気がするぞ」

「あれは体調不良と君の聞き分けのなさに気を乱されていたせいだろう」

「元より私はお前を信用した訳ではない。少なくとも、こんな怪我さえなければ再び貴様に斬りかかっているだろうよ



「それは恐ろしいことだ。そうなる前に退散させてもらうとしよう」

表情が生気を徐々に取り戻しつつあるのを確認した私は、近くの木に彼女を寄り添わせ、着ていた外套を衣服の上から


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