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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
幻想郷放浪記
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?」
明らかに不機嫌な様子で眼光を鋭くさせる。
自分が不審者であることは承知の上だが、対応がこうも過激では反抗もしたくなるというもの。
だいたい、無礼に対し慇懃で返すなど、相手を自分より上と決めつけるようなものではないか。
そんな莫迦な選択を取れるほど、私は落ちぶれてはいないつもりだ。
「ここは妖怪の山でも、天狗の土地により近しい場所。ただ立ち去るならよし、抵抗するのであれば―――」
告げ、手に持つ段平を両手に構え、警告の意を示す。
立ち去らないのであれば、切り捨てる。どんなに鈍い者でも理解できる、わかりやすい肉体言語だ。
そこまでして、天狗の領地には行かせたくないらしい。
「ふむ、別段その天狗の土地とやらに興味はないから立ち去らせてもらうとしよう」
「そうか。とっとと去ね」
少女に背を向け、数歩歩いたところで―――異様なまでの不快感が全身をなぞる。
今まで一切の予兆を感じなかったのに、まるでそれは抑止力のように唐突に現れた。
全身を余すことなく舐め回されている感覚は、止まる様子はない。
まるで蛇に睨まれた蛙の気分を体験しているようだ。
並の精神の持ち主ならば、この本能に訴えかける原始的恐怖に素直に従ってしまうだろう。
だが、私とて英雄と呼ばれた者。この程度の重圧、押し退けられずしてなんだ。
「………どうした、さっさと歩け」
歩みを止めていることに不信感を覚えた白狼天狗が、苛々した様子で再三促す。
指示に従い一歩を踏み出した瞬間、今度は重力が倍になったかのような感覚が先程の怖気と共に襲いかかる。
心なしか目眩も感じる。英霊である自分に体調不良を訴えかけるなんて、並大抵の事ではない。
しかし、一体この現象はなんなのだ?
何者かが私に対して、使用者の意に反した行動を取ると制約が掛かる呪いでも発動させたのか?
そんな事が可能で、私を知っている存在となると限られてくる。
その中でも有力候補なのは、私を幻想郷へ誘導した張本人か、諏訪子だ。
早苗は当然候補外、神奈子はこんな搦め手を使うようなタイプではないだろうし、背後の白狼天狗に到っては私の予想
通りならまるで矛盾している。
「おい!」
「――あぁ、すまない。気分が悪くなってしまったせいで、しばらくはこのペースになりそうだ」
「………そんな言い訳が通用するとでも?体調不良にしては突発的過ぎる」
第三者から見れば、私に降りかかる現象もただの演技にしか見えないらしい。
冷静に考えれば、確かに突発的にも程がある。だが、事実である以上他に説明のしようがない。
「嘘では、ないのだがな」
「騙されんぞ。過去にも狡猾な妖怪が手練手管を用いて、幾
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