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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
幻想郷放浪記
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は己の視点を確立する必要がある。他人の意見はそれからだ。

「………?まぁ、もし必要ならいつでも頼っていいですからね」

「ああ」

それ以上追求されることなく、早苗とは別れる。
家事のひとつでも手伝ってから行くべきだっただろうか。居候の身である癖に、自由に行動し過ぎるというのも流儀に反する。
とは言え、行くと行ってしまった以上戻るのは忍びない。だから今日の時点で出来る限りの情報を叩き込もう。

「だが、目的が抽象的過ぎるな………せめてどこか目的地を決めなくては」

無知が過ぎるのも考え物か。せめて地図のひとつでも要求するべきだったか?
まぁ、なくとも私にはこの眼がある。幻想郷の広さがどれ程かは不明だが、閉鎖された世界である以上規模は高が知れている筈。
管轄外とはいえ、これ程の規模の現象が魔術師の耳に入らないのは解せない。事実の正否はともかく、噂程度立っても不思議ではないのに。
情報統制が徹底しているという理由だけでは説明できない事態が、裏で起こっているのだろうか………?
神奈子は言っていた。幻想郷は外で存在が証明できない存在が集う場所だと。
それは逆に言えば、それ以外の存在は例外なく受け入れていないということではないだろうか。
………だが、そうなると人間はここにいるのだろうか。早苗の存在だけでは確証が得られないし、確かめる必要はありそうだ。

木の上に飛び乗り、観察する。
基本的に土地が隣接はしておらず、建物があるにしても常に独立しているようだ。
紅く塗装された西洋風の建物、霧のようなものに覆われた一帯、異常とも言える規模の竹林、季節外れの花が咲き誇る土地、守矢神社ではないもうひとつの神社――――――色々と眼についたが、その中で一番気を引いたのが、大きな村のような場所だった。
江戸時代を彷彿とさせる造りの建物が集うそれは、先程人間の存在を確かめようとしていた私にとって、指針となるべきものだった。
取り敢えずは、他の胡散臭い場所よりも、まずはあの村に行ってみるのが正しいと判断した。

―――瞬間、背後から殺気と共に飛来した何かを叩き落とす。
唐突なことだったので武器を出す暇がなく、腕でやったはいいが、その箇所が見事に焼け爛れていた。
傷みは大して無いし、私の対魔力でこの程度の傷で済んだ時点で、驚異とは成り得ないだろうと判断する。

「おい、貴様。ここに部外者が何の用だ?」

振り向くと、白髪に犬の耳や尻尾らしきものを生やした少女がこちらを睨み付けていた。
凛々しさの中に見える幼さが、この場に似つかわしくない雰囲気を醸し出している。

「不躾も甚だしいな。警告よりも先に攻撃を仕掛けるような輩に答える事は何一つありはせんよ」

「何………
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