第9話 過去の亡霊、鬼に牙を向く
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土方達の話しが盛り上がっていたちょうどその頃、同じくファミレスで盛り上がっていた。外も夕暮れになり、千鶴たちもそろそろお開きなり、3人は常盤台の学生寮まで帰ることになった。
本来なら千鶴は帰り道が違うのだが『それじゃ、途中まで一緒に帰ろうか』ということになり、美琴とカナと一緒に帰ることにしたのだ。
「ごめんね…美琴ちゃん、カナちゃん。私の話につき合わせちゃって」
「いえ、気にしないで下さい」
「私たちがお願いしたんですから」
二人にそうあっけらかんと返されると千鶴本人も苦笑を浮かべるしかないが、それでも『ありがとう…』と返事をした。
「それにしても…千鶴さんも辛い体験をしたんですね…」
「私たちは戦争…しかも知り合いが目の前で死ぬなんて」
「うん…井上さんは、あの鳥羽伏見の戦いで私をかばって戦死したけど、最期にこう言ってたんだ……」
『トシさんに伝えてくれ。力不足で申し訳ない、最後まで共に居られなかった事、許して欲しい……最後の理想を見させてくれて…感謝しても仕切れない……』
「…ってね。井上さんも土方さんと同じ“誠の武士”として最期まで戦ったの。もちろん近藤さんも…永倉さん、原田さん、斉藤さん、沖田さん、平助君、山南さん……新選組の皆さんは最期まで戦ったわ…自分たちが目指した理想のために……」
「………やっぱり、すごいですね。新選組の人たちは…」
「うん。私、あの人たちに出会えて本当によかった」
この時の千鶴の表情はまるで太陽のような温かい笑顔だった。美琴とカナも彼女の笑顔に惹かれる“何か”を感じた。2人は改めて千鶴と友達になれて本当によかったと心の中で感じていた。
そうして歩くうちに3人は違和感を感じた。もう暗いとはいえまだ人が賑わう時間。にも関わらず人の姿が1人も居ない。
「何、これ……?」
「誰も、いない……?」
美琴とカナがこの嫌な雰囲気に感じている丁度この時、千鶴はこの感覚に覚えがあった。それは殺気…しかもこの殺気に千鶴は覚えがあった。故に今の彼女の顔は青白くなっていた
「千鶴さん?」
「どうしたんですか!?」
2人は千鶴に声をかけるが当の本人の耳に入らず、目を大きく見開き、体をガタガタ震わせた
「この気配……まさか!?」
千鶴が恐怖に満ちた表情になった瞬間、周囲のビルの陰から人影が出てきた。30人はいる集団だった。着ている服は学生服や私服と様々だがその集団はある“共通点”があった。
白髪で紅い瞳そして……狂気に満ちた顔
この集団に美琴もカナも違和感を感じた
「な、何よアンタ達、そんな格好して…白髪でも流行ってるの?」
美琴は恐怖心を何とか押し殺して強気に振るう
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