さよなら
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言ってないで、言いたい事があるならハッキリ言いなさい」
じろりと睨まれ、【そのような顔をするでない。せっかくの美貌が台無しであるぞ?】とシュテルロギアは微笑を湛える。「余計なお世話よ」と面倒そうに返したティアはふいっと視線を外し、溜息をついた。
【では、長き茶番もこれまでとしよう。これは妾からの礼、遠慮せず受け取ると良い。時を超えし13の巫女、ティアよ―――――】
その声に反応するように、青い光が辺りを包む。あまりの眩さにその場にいた全員が目を覆い、瞼の奥で光が消えるのを待った。
瞼の向こうが落ち着いていくのを感じながら、ナツ達は目を開いて――――――。
『みんな久しぶりー!会いたかったよティアちゃ―――――ん!』
その空気を一瞬にしてぶち壊す、明るいトーンの声が響いた。
それは、つい先ほど聞こえたあの声で。2年前を最後に聞く事が出来なくなったはずの声で。弾むような柔らかい声に、ティアは目を見開いた。
『あ、あれ?皆聞こえてる?おーい!無視は悲しいから返事してよ〜!あたし、そこまでメンタル強くないんだよー?ねえ、ねえってばー!』
焦るような声に引っ張られるように、顔を上げる。ティアの視界で、泣き出しそうに歪んだ少女の顔が一瞬にして笑みへと変わった。
揺れる暖色のポニーテール、纏うのは動きやすそうな服一式。アイスブルーの半袖ジャケットに深い青色のインナー、白いショートパンツを穿いたその少女は、ニコニコと笑ってティアの両手を握りしめる。
『やぁーっとこっち見てくれた―!聞こえる!?ねえ、あたしの声聞こえてる!?そのリアクションは見えるし聞こえてるって解釈しちゃうよ?』
そこで、やっと。
ティアは驚愕からどうにか抜け出して、震える声で呟く。
「……イオリ、さん?」
自分でそう言っておきながら、信じられなかった。
だって彼女は、ティアの師匠だったあの人は、2年前に死んでいる。重傷を負って帰ってきたあの人と最後に言葉を交わしたのは、紛れもなく自分自身なのだ。探究心が揺れる強い意志を込めた目が閉じたのも、呼吸の音が聞こえなくなったのも、ゆっくりと全身が冷え始めたのも、全部手を伸ばせば十分届く距離で、見ていたのだから。
なのに、そのはずなのに、目の前の少女は大きく頷いた。
『そうだよ、ティアちゃん。――――――会いたかったよ』
イオリ・スーゼウィンドは、自分の死についての記憶が曖昧だったりする。
気づいたら重傷を負っていて、とにかくギルドに帰ろうと転移系魔法を使って、ギルドに到着して気を抜いたら立っていられなくて、顔色を変えて駆け寄ってきたメンバーを安心させるようにどうにか微笑んで、愛弟子の彼女に、ずっと一
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