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Element Magic Trinity
さよなら
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コミを入れたルーシィに「違うからねっ、僕が好きなのはルーシィだからねっ」と抱きつくルーを無視しつつ、エルザはシュテルロギアを見る。

「どういう事か説明してもらおうか、何故お前はティアに感謝している?お前の立場上、憎むか怒るかのどちらかではないのか?」
「エルザ…コイツ相手にお前はねえだろうよ……」
「お前もコイツって言ってるけどな」

先ほどティアに対して慌てていたはずのエルザが、いつもの口調で問い掛けた。呆れたように溜息をついたアルカにグレイがツッコみ、どうやら何故ツッコまれたのか解っていないアルカは「?」と首を傾げる。
ふむ、と目線を落としたシュテルロギアは暫し考え、口を開く。

【主等は大きな勘違いをしているようだが、妾はこんな一族には既に用など無い】
「え?」
【当然であろう?随分と落魄れ、穢れ…見るに堪えない有り様よ。身の丈に似合わぬ傲慢な権力を振り回すだけの奴を、何故庇い慈しむ必要がある?】

問い掛けるような口調に、ナツ達は言葉に詰まる。
ティアは短く息を吐くと、シュテルロギアを睨みつけた。

「で?アンタが一族をどう思っていようが興味ないけど、私に礼ってどういう事?言っとくけど、私はどんな権力も財産もいらない。そんなくだらないお飾りはあの女にお似合いよ。地面に沈むくらいに飾ってきて差し上げたらどうかしら、きっと喜ぶわ」

吐き捨てるように言えば、シュテルロギアは【権力も富も与えるつもりはない】と笑みを零す。その笑みに苛立ちを覚えたのか、ティアはぐっと拳を握りしめた。
尻尾をくねらせた竜は、口元に手を当てくつくつと笑う。

【妾は望みを叶える。が―――望んでいない事を叶えるのは無駄であろう。頂上に立つ事を望まぬ巫女に、何故頂上を渡す必要があろうか。叶えるのなら本当に望む事を。それは当然ではないか?】
「ふぅん…だとしたら、アンタは何を持って私に感謝を伝えると?頭下げられても嬉しくないわよ」
【何を言うか、巫女よ。妾が頭を下げるなどする訳ないであろう】

心外だ、と言いたげに眉(辺り)を顰めるシュテルロギア。
どうやらプライドが高いらしいこの竜は、ふるりと全身を震わせる。冷えるのだろうか、なんて考えて、そういえばこの時期の夜は冷えるなあ…なんてルーは呑気に思った。

【妾が叶えるのは巫女の望み。―――――巫女よ、主には会いたい者がいるはずだ】
「はあ?……ああ、両親には会いたくないわよ。たとえあっちが望んだとしても、娘を殺そうとした親の顔なんて見たくないわ。序でにお祖父様にも。あの人、何かある度に私の部屋に押しかけてきて迷惑だったのよね」
【ふふ、そうであろうな。主が家族になど会いたくない事は知っている。ずっと、見てきたのだから。―――――主は妾、妾は主なのだから】
「意味解んない事
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