暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
さよなら
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付いているようで、それぞれが目を見開く。

『アルカ君』
「…何だよ」
『いくらミラちゃんが優しくって心が広いからって、あんな簡単に別れ話しちゃダメだよ?泣きそうだったの、見てたんだからね』
「うる、せえ…余計な、お世話だっ……!」

声が震える。
溢れる涙を隠すように右腕で目元を隠したアルカの隣に、イオリは目を移した。

『グレイ君も、ちゃあんと気づいてあげなよ?あの子、いい子だと思うなあ。あと、可愛い弟子が出来たんだから、大切にしてあげる事。ね?』
「……」

グレイは、何も言わない。
けれど、俯いた顔からポタリと涙が落ちるのを、イオリは見ていた。

『エルザちゃんは…特に心配はないかな。強くて優しくて温かいから…。けど、あんまり1人で抱え込んじゃダメだよ?体によくないからね。もっとみんなを頼っていいんだよ』
「…ああ」

エルザは泣かなかった。
きっとそれは仲間の前だから。必死に堪えているのが見て取れる。泣いてもいいんだよ、なんて余計な一言は呑み込んだ。

『ルー君の恋が叶う事、あたしも願ってる。もし恋人になれたら、あたしにも教えてね。全力で祝福するから…あ、でも…見えないかな』
「イオリぃ……!」

ぐすっ、と鼻を鳴らしたルーは、何度も何度も頷いた。
それが何に対する頷きなのかは解らなかったけど、彼なりの何かなのだろうと受け止めて、頷き返す。

『あんまり話せなかったけど、ルーシィちゃんの事も大好きだよ。仲間だって思ってる。だから、ルーシィちゃんもあたしの事、仲間だって思ってくれれば嬉しいな』
「…仲間、よ……仲間に、決まってるじゃない…!」

両手で顔を覆うルーシィは、絞り出すように叫んだ。
膝が消える。ちらりと目を向ければ、太腿の半分が消えかかっていた。腕も、肘から先は既に消えている。

『ハッピー、君の恋も応援してるよ。あと、ナツ君のストッパーも……って、それはティアちゃんの方が上手なのかな。2人に何かあったら、あたしに報告よろしくね』
「あい…さあ……!」

小さな体を大きく震わせて、ハッピーがいつもの口癖を呟く。
目線を上げたイオリは、彼を見た。自分が弟子を任せ、弟子の彼女をどこまでも引っ張って、いい方向に変えてくれた彼女の戦友。
ナツは、イオリの言葉を正面から受け止めるかのように、イオリの目を見つめていた。

『…ナツ君』

感謝してもしきれないなあ、と思う。
ティアがここまで成長して変わったのは、紛れもなく彼のおかげだ。何を言われようと諦めずに手を差し伸べ続けて、隣で戦う事を許されて、協力まで求められた彼の。
あの時、任せたのがナツでよかった――――イオリは、心からそう思えた。

『約束を守ってくれて、ありがとう。これからも、よろしくね』


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