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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
09話 夜明けの陽光
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都で斯衛が行ったアレをもう一度、今度は国規模で行う事になりましょう。」

「つまり、XFJ計画は場当たり的な政策であり、帝国の事情を顧みても遅すぎる上に後々問題となる可能性が高いと貴官は言うのだな?」

「然り、ついでに利己本願なうえに味方を後ろから撃つ連中と手を結べるのですか?私情云々と言って誤魔化すのはいいですが、また裏切られては目も当てらない。
 二度あることは三度ある……三度目の裏切り、是非とも無いように願いたいですね?」


 痛烈な批判―――忠亮がいう裏切りとは、日米安保理放棄そしてG弾無警告発射の二つだった。
 日本帝国は日米安保理に伴い、戦術機総数を限定され空母の建造すら出来なかった。またGHQが広め育てた自由・共産の両主義による“自称”人権団体などの批判や政治家・官僚による妨害でBETAに対する備えは十全と呼ぶには程遠い状態だった。

 そうやって、日本は緩やかに牙を抜かれて往った状態でBETAの侵攻を受け、そしてそれをアメリカは私益のために見捨てたのだ。

 そして何をノコノコと出てきたのか、横浜奪還作戦では帝国・斯衛・大東亜連合軍をおとりにBETA諸共G弾の試し撃ちで吹き飛ばし、あろうことかそれを正義と言い放ったのだ。

 その裏切り、到底許せる限度を超えている―――その場にいる面々の顔が渋い色に染まるのも無理はない。
 だが、しかし―――

「忠亮、それぐらいにしておけ。お前の直截簡明(ちょくせつかんめい)なところは好感が持てるが、既に決まってしまったものに異を唱えても詮無きことだ。」
「―――はっ、申し訳ありません。熱くなりすぎたようです義兄上。」


 頭を下げる忠亮。しかし、それを次いで真壁助六郎が発言する。

「しかし、巌谷の視野狭窄(しやきょうさく)にも困ったものだ―――左翼全体に云えることだが、彼等は基本狭い視野と独善的な性情で動くからな、考えなしが知恵を巡らす分質が悪い。」
「後顧の憂いの可能性があるのなら今のうちに叩いておくのも手ではないでしょうか。」

「確かにな……だが、彼の日本を思う“気持ちだけ”は本物だ。それに絆される人間も多い―――篁の次期当主殿のようにな。」


 真壁の愚痴にも似た非難、それに対し山吹を纏う藤原女史が暗殺を示唆する言葉を発する。
 しかし、それを実行した場合の反動を顧みた真壁が最後に“彼女を指す”言葉と共に忠亮を見やった。

「………」

 苦い表情で沈黙する忠亮―――今の唯依では、ダメなのだ。
 衛士としての技量は一流だ、センスもある。けれども其れだけでは超一流の域にまで行けない……今の彼女では、軍人としても衛士としても二流どまりだ。


「しばらくは監視に留めよう。そして篁の次期当主殿には計画終了後、再教育プ
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