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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
忘却の彼方に待つ世界
epilogue and prolog
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に私は凛の言葉を無駄にはしたくないと思っている。
幸せになって欲しい、と。決して口には出さなかったが、彼女が私へと込めた想い。
こんな私を最期まで心配してくれた彼女を、これ以上裏切りたくはない。
―――だいたいチャンスとはなんだ。
内容も聞かされず、ただおいしい話だと言われても、誰も食いつきはせんぞ。
まだ子供の考えた悪戯の方が騙される。
―――頭が悪いのね。そんなこと貴方には重要じゃあないでしょう?
―――それは心外だな、考えた上でだよ。
一度甘い誘惑に乗ってしまった故に非道い目に遭わされた経験があるからな、慎重になっているだけに過ぎん。
―――このままいけば貴方は記録の一部となり、自我も失われる。
そうなればあの少女との約束は永久に叶えられない。
保身に走り、他人の願いを蔑ろにするのが、貴方の理想の正義なのかしら?
どんな理不尽にも耐えてきた男とは思えない思考回路ね。
私のすべてを知っている風な口ぶりが、矢継ぎ早に紡がれる。
英霊エミヤの在り方を知るだけではなく、凜との一連の会話も聞いていたらしい。
ますます不可解。しかし、考えるべきはそこではないと直ぐさま思考を切り替える。
―――そうやって挑発して、何を誘っている?
うまい話には裏がある。今時の学のある子供なら理解できるレベルの真理だ。
だが私はこれが自分のための善行、だなんて都合の良い解釈が出来るほど子供ではない。
―――怖いのね。私が再び貴方に地獄を見せるかもしれないと思うと、恐ろしくてたまらないんでしょう。
―――ああ、怖いね。心を読まれているようで気にくわないが、その通りだよ。
確かに目指した道は間違いではなかったが、だからといえ過程の殺戮が正当性が得られるわけではない。
貴様の口車に乗り、望まぬ殺戮に身を投じなければいけなくなる可能性を考えれば、当然だ。
―――そう。じゃあどうするのかしら?
リスクに怯え、少女の願いを無為とするか。光の届かない暗闇に身を投じ、答えを求めるか。
虚空に響く声が、どこか真剣味を帯びる。
次に口にする言葉が決断の答えとなる。そんな空気をひしひしと感じる。
凜にこれから頑張っていくと言った手前、ここで逃げるのは彼女の想いを踏みにじることに繋がってしまう。
それに、私は罪人だ。今までやりたいようにやってきて、その結果が気にくわなかったから自分の軌跡を跡形もなく消そうと我が儘に振る舞ってきた。子供の癇癪では済まされない、命のやり取りの中で。
そんな私が、せめて償えることがあるとすれば、彼女の願いを成就させることだけではなかろうか。
―――そうだな。
断れば座に還るだけ。承諾すれば僅かではあるが希望のある道
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