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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
忘却の彼方に待つ世界
epilogue and prolog
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「答えは得た。大丈夫だよ遠坂、オレも、これから頑張っていくから」
出来る限りの最大限の笑顔で、凜を見据える。
オレは今、心の底から笑うことが出来ているだろうか。
嘘偽りのない自分自身をさらけ出すことが出来ているだろうか。
呪いが解け、しがらみから解放されたことでオレの存在価値は過去のものとなった。
シンデレラのように魔法が解けた後も物語が続くことはない。
所詮端役でしかないオレには、遺恨すら残らないまっさらな未来しか残されていない。
そもそも、こんな穏やかな果てが訪れたことさえ、オレには勿体ないぐらいだ。
だが、願わくば―――凜の願いを聞き遂げたかった。
聖杯戦争が終局を迎えた今、この身体を縛る方法は無くなった。
究極の神秘によって構築された肉体は徐々に崩壊を始める。
目の端にうっすらと涙を浮かべる凜を抱きしめるのは、エミヤではなく衛宮士郎の役目。
多少不安は残るが、問題はないだろう。
何せオレを意志の強さのみでねじ伏せたのだ。
その程度の気概があるならば、凜と共に歩み、決して同じ過ちを繰り返さないと信じられる。
………裏切り者が今更人情を説くなんて、お笑い種だな。
しかし、これは紛れもない本心。
そうでなければ、こうして消える刹那も奴と剣戟を繰り広げている。
―――終わったのだ、私の物語は。
一筋の旋風が駆け抜ける。
薄れていく世界を眺め、ほんの僅かな未練を抱えながら、その身体は音もなくこの世から消え去った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
英霊の座に還らんとする肉体は、徐々にその存在を崩していく。
初めは足。そこから昇るように消えていく肉体を、名残惜しげに眺める。
凜の願いを聞き入れ、それを純粋な気持ちで受け止めたとしても、この身は所詮過去の再現。
記録として残ろうとも、その思いがいつか生まれるであろう英霊エミヤに反映されるかは別問題。
それは彼女とて理解していた筈。理解していた上で、私に向けて吐き出したのだ。
だが、摂理に逆らえないと理解していても。彼女の言葉がまったくの無意味な産物だったとしても。私にとって、彼女の願いを聞き入れることが、新たな自分になる門出だったから。
エミヤが目指した理想が、決して間違いではなかったことを証明する一歩となるのだから。
それが例え徒労だとして、どうしてそれを否定できよう?
胴体までもが消え、完全消滅まで秒読みといった段階に入る。
記憶にも靄が掛かり、意識もおぼろげになっていく。
わかっていたこととはいえ、これではあまりにも報われない。
嘘偽りのない真摯な願いは、世界の原理の前にはただの戯れ言だと言われているようで、気分が悪い。
同時に、それに抗えないと理解
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