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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
番外之刻
東方春眠暁
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春が来ると、何故か眠たくなるというのは誰しも味わったことのある出来事だろう。
自然が持つ魔力のひとつなのかもしれないが、魔とつけるには害のない現象ではある。
私も普段はその三大欲求への訴えに抗うなんて馬鹿な真似はしないのだけれど、今日だけはそうするほかない。
「っ………たく。なんなのよこの花びらの数!」
手にしていた竹箒を乱暴に投げ捨てる。集めていた桜が散りばめられ、苛々に拍車をかける。
自業自得とはいえ、怒りで沸点が高まっている今の彼女には何の関係も無い。
今年の春、異常ともいえる桜の花びらが辺りを彩り、視界の大半を桜色が占めるという無駄に明るい世界が構築されている。
やっと冬の寒さと雪掻きで疲れた身体を休めると浮かれていた矢先、今度は桜の掃除。怒りに満ちるのも無理はない。
ただの一軒家程度の土地ならばこれ程までに憤ることもなかったのだろうが、彼女は巫女であり、彼女の家は神社。一度神社の境内から外観を覗いたことのある人ならばその億劫さは容易に想像がつくだろう。
更には、彼女の神社の周囲は桜の木で満ち溢れている。こうなれば美しい光景もただの地獄絵図にしかならない。
「はぁ………なんだってこう………」
掃いても掃いても終わることのない無限ループに軽く発狂しそうになるも、諦めるように捨てた箒を再び拾い、杖にするように体重を預ける。
「おーい、霊夢ぅー!」
そんな陰鬱な心境とは相反する明るい声が頭上から高らかに聞こえてくる。
聞き慣れたその声に一応顔を向けると、案の定そこに居るのは白と黒の服装の魔法使い―――霧雨魔理沙が箒に跨って此方へと降下してきていた。
ある程度の高さで彼女は飛び降り、華麗に着地する。でもそれは本人の中だけであって、私からすれば桜を散らせる風を発生させた邪魔者としか思えない。
「何よ魔理沙。私はここの桜を片付けるのに忙しいの。邪魔するだけなら帰って頂戴」
「そんな雪掻きの時の失態を繰り返さないような行動したところで、今回に関してはここら中の桜を燃やしでもしない限り暫くは解決しないぜ?」
そうなのだ。私はとある冬の時期、寒さと炬燵の暖かさに負けて暫くの間外に出ることもなく自堕落な生活をしていたのだけれど、そんな感じで雪が溜り、さらに暴風雪がそんな時に限って数日続いたのだ。
結果、襖は雪の圧力で悲鳴を上げ開けれる状況ではなくなり、屋根もみしみしと音を立てていていつ倒壊するものか不安で仕方が無かった。
そのときは魔理沙が偶然うちに現れていつものノリでぶっ飛ばしてくれたから助かったけど、下手をすれば生き埋めか、それとも圧死か。
以来、明らかに危険性のないこういった桜の花だろうと紅葉だろうと駆除せずにはいられなくなっていた。地味にト
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