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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十一話 雷帝の末裔
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攻撃に寄って起こりうる「負傷」を、魔法を利用した演出や痛み、行動制限などによって、疑似的に再現する戦闘シュミレーションシステムである。
元々は限りなく実戦に近い形式で行われる管理局内のシュミレーション訓練システムに採用された代物で、ある程度安全にかつハードな試合を再現することが出来る事から、現在ではBSAAの公式魔法戦競技会も採用しているシュミレーションシステムだ。当然ながら、IMの戦闘に置いても使用される。
そしてこのシステムにおける、“出血”状態の効果は、痛みと徐々に体力が減少すると言う物で、多量の出血となれば意識混濁すら起こりうる物である。

さて、大きく体力を削られた状態で、この状態異常は非常に辛い物が有るのは言うまでも無い。
ただ何よりも問題なのは、クラナがそれを“受けた”事だ。
四年前……以前のクラナであれば、防げた……否。かわせたであろうそれ……本来、このような近接における高速攻撃はクラナの十八番だが、現在のクラナは間違いなく見えていた筈の其れを避ける事が出来なかった。
それはクラナが無駄に力みながら拳を放ってしまったためであり、其れが身体の反動と硬直を伸ばしたため、そして何よりも、彼自身の反応が遅れたためだ。受けた攻撃を、クラッシュエミュレートにつなげてしまっている事から見ても、クラナの勘が鈍っている事は明らかだった。

時間を戻そう。

「……!」
『これで……!』
衝撃を受けて、クラナの身体が後方に吹っとばされる。大ダメージに加えて、出血のエミュレートである。この時点で、ヴィクトーリアはかなりの優位に立ったと言えた。このダメージを起点に、後は一気に倒し切る。そう考えて、ヴィクトーリアは構えを治そうとする。だが……

「……ア、ルッ!!」
[Roger! Acceleration!!]
「えっ!?」
体勢が崩れ切るよりも前に、クラナが咆えた。吹き飛び掛けていた身体を強引に引き戻すと、叩きつけるように地面踏みしめ、ボンっ!と音を立てて飛び出し開き掛けていたヴィクトーリアとの距離を再び一瞬で詰める。まだ体勢を治しかけていたばかりだったヴィクトーリアは、水月の振り切りの体勢から身体を戻せていない。つまり。正面のガードがガラ空きだ。

『防御が……!』
「双掌撃墜!!」
クラナの今度の攻撃は、連撃では無かった。
それは突撃からの、腰だめに構えた両手から繰り出される、突きだすような双拳の一撃である。

「パイルブロウ・ツイン!!」
「カッ……!」
「へぇ」
突き出した拳が再びヴィクトーリアの腹部を的確にとらえ、打ち抜く。と同時に凄まじい衝撃波が彼女の身体を突きぬけ……鎧の腹部が、粉々に砕け散った。
パイルブロウは、圧縮した魔力を拳が命中した瞬間に一方向に対して打ち出す事でアンチェインナックル等
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