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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十一話 雷帝の末裔
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ミッドチルダ旧ベルカ自治区 北部。
ミッドチルダ北部の中でも、特にむき出しの自然が残り、風に削られた岩場から沢の流れる山間まで、多くの自然を見せてくれる地区に、クラナとライノはやって来ていた。
特急のリニアトレインでも一時間近くかかってしまうこの土地にわざわざ赴いたのは一重に、今日はライノの知り合い……かつ一応クラナの知り合いであるとある人物に会う為である。

駆け寄ったややクラシカルなデザインの車の運転席が緩やかに開くと、中からフォーマルな格好をした長身の男性が顔を出した。この男性は、これから向かうとあるお家の執事であり、ライノとしては幼いころからの付き合いである友人でもある。
非常に自然な所作で、かつ完璧な礼をした男に対し、車に近寄りつつ片手を上げてライノが言った。

「よぉエドガー!相変わらず使いパシられてるみてーだな」
「ははは、いえ、滅相もございません。お久しぶりですね、ライノスティード」
笑顔で言った。

「おう。ったくお前の顔見るだけなら此処にくんのも悪くねーのによ」
「残念ながら、既にお待ちかねですよ」
「うへぇ」
なんとも微妙そうに顔をしかめたライノの後ろに、エドガーが苦笑する。と……

「おや……」
「……お久しぶりです」
ライノの後ろから顔を出したクラナが、ペコリと一つお辞儀をした。

「お久しぶりですクラナ様、このたびは復帰なさると言う事で。お嬢様も心底喜んでおられました」
「……どうも」
微笑みながら言うエドガーに苦笑するようにほんの少し笑ってクラナが答え、再び頭を下げる。そんなクラナにニッ、と笑って、ライノが言った。

「まぁ良いや。とりあえず行こうぜ、立ち話すんのもあれだろ」
「うん」
「えぇ、では……ご乗車下さいお客様」
言いながらエドガーは後部座席のドアを開く。ライノはそのまま慣れた様子で、クラナは何となく頬を掻きながら乗車した。

『ふおぉ、完璧な執事モーション、流石エドガーさんですねぇ』
『まぁ、プロだしね』
『イケメン執事が何時も隣にいるとか世の37.85%の女性が見たら羨みますね。間違いない』
『何そのやけに具体的な数字……』
『私の勘です!』
『数字が具体的でも前提が具体的じゃないから全然当てにならないね……』
アルは今日も平常運転である。

────

北部の中でもひときわ目立つ、海側の岩場に立つ邸宅。巨大なその家に住むのは、とあるお金持ちの家柄の家族であり、旧ベルカから続く古―い血筋を守る人々だ。その家に表札は無いが、住まう家族には当然性が有る。
彼等の性は「ダールグリュン」。今は血は薄くなりはしたものの、古代ベルカに置いて有数の武勇を誇った猛将であり、王として知られた一人。《雷帝》ダールグリュンの血を受け継ぐ者達の住まう家である。
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