第一部 学園都市篇
第３章 禁書目録
26.Jury･Night:『The Black Pullet』
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──その一撃は、見えもしなければ躱せもしない。正に、天より降り墜つ神王の雷霆だった。
それは、俺の『■■■■』をものともせずに。
打たれた脳天を抱えて、恥も外聞もなくゴロゴロと板間を転がる。音も威力も、己が使っている物と同じ竹刀だとは、とても思えなかった。
木刀、と言われても信じられる。そうでもなければ、同じ材質、同じ重さのモノをどうして────
『様ァねェ……偶々得ただけの能力に頼るから、そうなる』
──巫山戯んな……何しやがった、どんな改竄を使いやがった！
低く、重厚な声に目線を向けながら噛み付く。此方を見下ろしつつ、紫煙を燻らせる道着姿の男の眼差しに。
見下したような、しかし熱の籠る炉のような。静かに白熱する金属塊のような。
『本当の強さってのは、鍛え上げた錬武にのみ在る。科学でも魔法でも辿り着く事の叶わない……ただ自らが描いた理想、“求道の果て”にのみに……だ』
──…………。
吐き捨てるように、言い聞かせるように。常日頃の金属鍛冶で身体を鍛え上げ、更には『正しく刀を鍛つには、刀の道を窮めねばならぬ』と技術を鍛え上げ、実際に『免許皆伝』にまで至った義父の言葉。その重さに、反論すら儘ならない。
何故なら、それは事実。今、正に証明された。かつて、学園都市の暗部にて『正体非在』と恐れられた『災害』が、何の変哲もない男に敗れたのだ。出逢った時と合わせて二度も、無様に転がされた。
『そもさん、争いなど意味がない。戦わずして勝つ事こそが肝要だ。しかし負けずして敗けを認める事は、勝たずして克ちを認める事の無量大数倍は困難。そんな事は、夢物語であるからこそ────』
燻らせていた煙草を、携帯灰皿に押し潰して。義父は、真面目な顔で向き直る。それは、まるで……。
『────魔剣の話をしよう。それは理論的に構築され、論理的に行使されなくてはならない』
友に、秘密を打ち明ける少年のような。悪戯心に溢れた、凄惨な笑顔で────…………
………………
…………
……
『圧し斬り長谷部』。日本人ならば知らぬ者は居るまい戦国の雄、第六天魔王『織田信長』の佩刀。
南北朝時代の刀鍛冶、かの天下一名物『相州五郎入道正宗』の流れを組み、後に“正宗十哲”と讃えられる内の一人『長谷川国重』作。鎬造り、庵棟。身巾広く重ねやや薄く、反り浅く、 |大切先《きっさき
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