第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『The Black Pullet』
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めて。
『う……ウゥウウウ……』
『オォォォ、あァァァ……』
ぬるり、と立ち上がる。だが、正気などには程遠い。その二人を、引き連れるように。
その時……バサバサと耳障りな、乾いた紙音を孕んだ風が吹いた。
『“我は求め、訴えたり”──!』
「────!?」
指揮官機が空を掴み、取り出した一冊。黒い装丁に、その余りに有名な呪言。導き出される答えは一つ。
「“黒い雌鳥”か!」
「ジャーヴィス……?」
口を突いた魔導書の題名に、背の最愛が怪訝な顔を見せる。振り向かない嚆矢には、見えないものではあるが。
《……いや、写本じゃな。流石に真作となると、取り出しただけでも数千人規模で気が触れようて》
(そうかよ。で、再現率は?)
《間違いなく、書いた者は幽世だろうのぅ。呵呵呵》
(笑って言うトコじゃないよな?)
要するに高いらしい。肌を刺すような瘴気だけでも、分かってはいたが。
「っ……超なんなんですか、アレ?」
「要するに、アレが俺らが狙う『研究成果』さ」
問うた最愛の、僅かに震えた声に心臓が一つ、脈を外す。嗚呼、そうだ。それは。
『だめ────』
「……!」
記憶の中の、その声と被って聞こえて。
「大丈夫──ボクに、任せて」
「……えっ?」
口を突いた、その一言。安心させられるように、柔らかく。
『このジャーヴィス、女の子の前なら鬼神もドン引く程の甲斐性を発揮するのニャアゴ!』
「…………この男は」
猫面のまま、悪鬼の笑顔を見せて。最愛の表情を、『怯え』から『呆れ』に変えて。
「さァて、それじゃあ……奪うとするかね、『研究成果』」
「超了解です。あれさえ手に入れば、麦野も超納得させられます」
そうして、互いに逆方向に向き直る。最愛は、屯する警備ロボット。嚆矢は……まるでゾンビのように覚束無い歩みの二機と魔導書を持つ指揮官機の、計三機の駆動鎧に向けて。
「あの、『黒い棘』……『死人を生き返らせる研究成果』とやらを!」
叫び、長谷部を構えて─────
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