第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『The Black Pullet』
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『……クク。成る程、大したものだ、事前情報の通り』
ただ、一機。冷静を崩さない指揮官機を除いては。動かない二機、その代わりの如く此方に向かってきた警備ロボットに応戦しながら、そんな呟きを聞く。
「事前情報ねェ……やっぱり、何処からかタレ込みが有ったッて事か」
「ちっ……これだから、信頼度の低い仕事は超嫌なンですよ」
いつしか背中合わせに立っていた最愛が毒づく。全く同感である。投網を断ち、左の南部式拳銃で本体を撃ち、『確率使い』による『急所に当たった』で機能停止に追い込む。しかし、数が多過ぎる。マガジンを交換する暇も僅かだ。
「チッ──」
等と思った側から弾切れ。右手には刀、戻している暇はない。そもそも、両手持ち以外で刀を振るものではないが。弾込めは諦めて南部を仕舞いながら、放たれた電撃銃に長谷部で理合を敢行。刀の鎬で刃流する。というか、それしか出来ない。
《ほぅ……器用なものよなぁ、まるで旅芸人の軽業じゃな。楽市楽座の後にはよう見に行ったわ》
(喝采は要らねェ、喝采は要らねェ。ただ俺が成し遂げるだけだ、ッてか!)
──遠距離、マジ汚い。こうなると、豪快に警備ロボットを殴り壊せる上に防御も隙の無い最愛の能力が羨ましい。
相手もそれを学習したらしい。流石は学園都市の警備ロボット、早くも此方に『中・遠距離』が無い事に気付いたのだろう。先程から、遠巻きに攻撃を繰り返している。
それに気を取られていられれば、或いは幸せだったかもしれない。
『死が恐ろしいか、お前ら?』
『た、隊長?』
『あ、当たり前です! 俺、仕事がないからこの仕事してるだけで……命を懸ける気なんて、毛頭無いですよ!』
後退り、今にも逃げ出しそうな後詰め。その二機に、指揮官機が鷹揚に頷く。
『確かにな。俺もそうだ。こんな仕事程度に命を懸けるなど馬鹿馬鹿しいと、常日頃思っていた。此処に来るまでは、な』
優しく諭すように、部下に向き合い────ドス、と。
『──え?』
『あ──?』
黒い棘のようなものを、部下二人に突き刺した。
『あ、ギャァァァァ! な、なん、コレ……グァァァァァア!?』
『痛、う、あ……嫌だ、嫌だァァァァ?!』
『そう、出逢ったのだ。此処で、祭司様に! あの方は教えて下さった、“生”など偶然の産物! 本来我等が在るべきは、不変たる“死”なのだと! 即ち──これが、真実だ』
恐らく、額面通りの『棘』ではないのだろう。泡を吐き、のたうち回る部下を見下ろして……指揮官機は宗教家のように、熱に浮かされた弁舌を振るう。
やがて、二人はピタリと動きを止
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