第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『The Black Pullet』
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呵呵、随分と酷い事を言われておるぞ?》
(煩せェ、クソッタレ……あァ、今日はツいてねェ!)
二重に図星を突かれて、血へドと共に吐き捨てる。形勢が不利に傾いた事を悟って。先程自分が通った唯一の出入り口、そこから新たに二機の駆動鎧と多数の警備ロボットが現れて退路を塞ぐ。恐らく、壁抜けを使っていればあの別動隊に制圧されていただろう。
指揮官機の激励に、敵機は統制を取り戻しつつある。このままでは、幾らなんでも突破は無理だ。
『そら────行けィ!』
『は、はい────うァァァァ!』
正体を取り戻し、敵機は突貫を。『衝撃砲』を乱射しながら、『電撃棒』を振り回し────
「一刀流じゃねェ────新陰流『一刀両段』……“合撃”だ」
「あっ────ガッ??」
それを、一刀の元に斬り伏せる。『衝撃砲』など、服に溶け物理を無効とするショゴスの護りの前には無意味だ。敵の腕と身体を纏めて両断すれば、打ち払われた電撃棒が腕ごと宙を舞い、割られた胴が血飛沫を放つ。その命を、またもや無為に散らした。
新たな血糊を浴び、新鮮な餌に歓喜するショゴスが啼いている。足下からは既に鋼を溶かし呑み、液体を舐め啜り、肉を咬み毟り、骨を喰い破る音が響いている。
『ば……化け……もの……』
「……だから何度も言ってンだろ、『そうだ』ッてよォ」
即死できなかったらしく、転がった駆動鎧が末期の恨み節を述べた。それに、悪鬼の笑顔を浮かべた猫面のまま……止めの一太刀。
熱もないのに陽炎を纏う刀、ゆらりと。
《ふむふむ、やはり敵の息の根は確実に止めるに限るわ。後はこの楼閣を焼けば、尚佳い》
(昔の木造建築と違ってビルは燃え難いし、消火設備も万全だ。無理だよ)
《それはどうかのぅ、儂の異能……お主はもう、気付いておろう?》
(……ある程度は。俺の能力とは相性抜群だな)
刀の銘のままに、力と切れ味のみで“圧し斬る”。ゴキリ、と不快な感触の後、全てが終わる。終わらせた。
終わらせながら、何でもないかのように頭の中に響く声に応えていた。
──そうだ。今更だ……此奴も俺も、化け物だったんだ。
久々の感覚。そう、以前の日常。懐かしき暗部の日々。何故忘れていたのか、目を背けていたのか。
『嘘だろ……コイツ、駆動鎧を斬りやがった!』
『信じられねぇ……何かの能力か?』
後詰めの二機が二の足を踏む。然もありなん、目の前には地獄絵図。焦熱を纏うかの如く陽炎の揺らめく白刃を構え、血化粧を施された凄惨な笑顔を浮かべる猫面の悪鬼。足下では、蠢く『影』が鋼鉄や骨肉を貪っている。
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