第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『The Black Pullet』
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》。鍛、板目流れでよくつみ、地沸つき、地景入る。
刀文は、皆焼下半大乱れの皆焼、上半はのたれに小乱れが交った皆焼。
──桶狭間から始まり長篠、比叡山焼き討ちに一向一揆殲滅。割拠する群雄も、神仏すらも恐れぬ、その血塗れの覇道を知るもの。そして、その末路は────……今は日本史の話は省こう。そんな場合じゃねェ。
気にすべきは、眼前の二機。呆気に取られて棒立ちの一機と、重厚な佇まいを崩さぬ指揮官機。
「……どうした、随分と気勢を削がれた見てェだがよ?」
『ひっ……人殺し!』
対するは、一騎。元々のバスドラの声色で、兇貌なる黒豹が構えた一振り。それに改めて気圧されたらしく、棒立ちだった機が目に見えて一歩、後退る。即ち、流れを握る好機である。
分かり易い程に大仰に。太刀を右肩上に構える、正調の上段。右掌は深く強く、左掌は浅く軽く、赤い目貫が覗き込むような黒い柄巻の柄の両端を握る。斬り臥せた駆動鎧から迸った鮮血と油に滑る白刃は鋭く、非常灯の光を切り裂いて。
「そら、その駆動鎧は飾りか? その棒は飾りか?」
『っひ、人殺し! 来るな、人殺しめ!』
「ああ────そうだが、それが何か?」
じり、じりと足を送れば、浮き足立った対手がじり、じりと足を臆る。
『な、何なんだ……何なんだよ、お前は!』
「何か? ハッ、何でもない。ただ単に────お前の死神さ」
『ひ、ヒィィィィ!?』
どうやら、恐慌の余り自らの機体に備わる『衝撃砲』の存在を失念しているらしい。怯えるのみの一機に、ここぞと畳み掛ける。それは痛く対敵の心を抉ったらしく、最早腰砕けだ。
まぁ、『衝撃砲』ならば使われたとて問題はない。あの武装なら、以前に投げた事もある。仕方あるまい、『警備員』ではない、正しい意味での職業である警備員に、実戦経験など望む方が悪い。
「逃げて勝てる敵なんざ居ねェぜ、なァ? 来いよ……それでも男か、あァ!?」
『く、来るなぁァァァ!』
恐れ、最早逃走の一歩手前。その機体に向けて、刀を構えて。あと一歩だ、と。
『一刀流の切落……か。若い癖に、随分と黴臭い術理を用いる』
「────!」
だから、嚆矢は心の裡で吐き捨てる。『百分の一だ』
、と。
口を開いた指揮官機、微動だにせずに『電撃棒』を弄ぶ。くるりと構え、警棒術の『中段構え』を取る。
『だが無為、駆動鎧の前には余りに無為! 自らの劣勢を示したに他ならぬ……出逢え、者共! 敵は最早死に体ぞ!』
《
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