第二十九話 裏切りの刃
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止められて、その間にサチは殺される。
「………………」
ランサーの表情が更に険しくなる。
食いしばられた歯からは、ギリリと音が聞こえてくる。
ギチギチと槍を握る手からは嫌な音が響く。
「ランサー、サチを返してほしいなら、僕の頼みを聞いてはくれないか?」
軽い調子でケイタがランサーへ問いかける。
ランサーはその声を聞きつつも、答えない。
ただ、ケイタを睨みつけているだけだ。
「…沈黙は肯定と受け取るよ」
そう言うと、彼はゆっくりとナイフを下し、アイテムストレージから転移結晶を取り出した。
「付いてきてくれないか?ここでは話しにくいしね」
彼はそう言うと、チラリと促すようにランサーを見た。
ランサーに、拒否する権利はないと言わんばかりに。
ランサーの表情は、怒りの中に悔しさも交じっていた。
拒否する権利はない。
ランサーはそう判断すると、ゆっくりと実体化を解き、光の粒子を撒き散らしながら霊体化した。
そのことを確認すると、ケイタは転移結晶を掲げて目的地を叫ぶ。
無数のガラスが砕け散るような音と共に、青い閃光が夜闇を染めた。
爆産するポリゴンのかけらとともに、彼らはその場から消え失せた。
残ったのは、青と金色の粒子のみ。
やがてそれらも消え失せ、辺りは静寂の身が包み込んだ。
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