第二十九話 裏切りの刃
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たのは、他でもないランサーである。
今まで、こんな彼女を見たこともなかったので彼の驚きはもっともなことだ。
「(おい!嬢ちゃん、どうしたんだそんなに慌てて!何かあったのかよ!!)」
ランサーが霊体化しつつも、彼女に問いかける。
「……」
答えない。
彼女はランサーの問いを無視し、ただ走り続けた。
「(おいおい―――――――、一体なんだってんだ)」
愚痴りながらも、彼女を止めることはしない。
きっと何か彼女をそうさせる理由があるのだろう。
ランサーはそう思いながら、彼女についていく。
サチのメッセージにはこう書かれていた。
『今から会えない?場所は―――――――』
その場所は、彼女がよく知っている場所だった。
あの時以来、足を運んでいなかった。
彼女にとっては辛い思い出の場所。
それでも、行かないわけにはいかなかった。
なぜなら……
差出人―――――――From KEITA
そう記されたいたのだから。
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目的の場所には、十分足らずで到着した。
泊っている宿から、転移門まではそこまで離れていなかったし、その目的の場所も転移門からあまり遠くない場所であった。
彼女は、約束の場所周辺で足を止める。
あと少し歩けばその場所だ。
「ランサー……出てきて」
自らの相棒を呼ぶ。
「どうした、嬢ちゃん」
怪訝な顔をしながら姿を現すランサー。
その表情は、困惑が浮かんでいる。
「ここからは一人で行かせて」
その言葉に、ランサーは目を見開いた。
「馬鹿か嬢ちゃん。嬢ちゃんがなんであんなに焦っていたかは知らねぇが、付いてくるなとはどういう……」
「ランサー」
彼女はランサーの言葉を途中で止めると、真剣な表情で彼の目を見る。
「お願い」
その表情は、今まで彼が見たこともない彼女の顔だった。
何かを決意したような真剣な表情。
「……ハァー」
本日二度目のため息。
彼女の真剣な表情にランサーは折れた。
「分かった――――――――嬢ちゃんがそこまで言うんだ、何か重要な事なんだろう」
だが、とランサーは付け加える。
「離れていても様子だけは見させてもらう。それが条件だ」
そう言うと、ランサーは霊体化し、その場から消えた。
「ありがとう」
サチはそう言い、暗くなったフィールドを歩き始めた。
真っ暗闇のフィールドは不気味な雰囲気を醸し出しているが、今の彼女は気にも留めない。
それほど、彼女の中で彼との再会は重要なものだった。
少し歩いたところで、彼女は不意に足を止めた。
その場所は、自分が初め
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