九校戦編〈上〉
九校戦一日目(1)×朝の日課とエルフィン・スナイパー
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会長は五分間という短い時間の中で、あっという間に終了した。パーフェクトという事で、ゴーグルとヘッドセットを外して客席の拍手に笑顔で応える会長を見ながら深雪は正確に分析を終えていた。
「ドライアイスの亜音速弾ですね、同じ魔法を百回見れば誰でも分かる事でしょうけど」
「百回?それって一発も外さなかったという事?」
「そうらしいな、あれは魔法発動速度ではなく精度だろうな。知覚系魔法を併用したとしても、手に入れた情報処理するのは自前の頭だ。マルチサイトの訓練を積んだのか、それとも天性なのか。さすが十師族直系は伊達ではないな」
「会長さん、知覚系魔法まで併用していたんですか?」
「遠隔視系の知覚魔法『マルチスコープ』非物質体や情報体を見るものではなく、実体物を様々な方向で知覚する視覚的な多元レーダーの様なものだな。誰でも持っているもんではないからレアな先天性スキルだと思う。会長は普段からこの魔法を多用しているが、全校集会の時もこの魔法で隅まで見張っていた。肉眼だけであの射撃は無理がある」
「確かに無理」
即座に応じたのは雫だが、俺だったら1k先にいる敵がいたとしても狙撃する事ができる眼を持っている。知覚魔法ではない方法でな、俺と雫は自分があそこに立つ時を考えながら試技を見ていたと思うな。
「でもよ、空気分子の運動を減速してドライアイスを作り、これを亜音速に加速し更に知覚魔法を併用していたんだろ?知覚魔法は常駐、減速魔法と加速魔法は百回繰り返して。よく魔法力が持ったな」
レオが言っている「魔法力」とは、実技判定における「魔法力」ではなく通俗的な意味での魔法を反復行使するスタミナの事。これは多くの者が誤解をされるが、魔法はエネルギーを消費する運動ではなくサイキカルなエネルギーを消費して事象の改変をしているのではなく、情報改変を通じて事象を改変している。情報改変にはサイオンで作成した魔法式の投射が必要なので、魔法式の規模を行使し得る回数に限界はある。レオが今使った意味での「魔法力」とは、類似物を求めるならば思考力のスタミナに近い。
「会長の射撃は『ドライ・ブリザード』のバリエーション何だけど、原型となる『ドライ・ブリザード』は効率の良い魔法なのさ。会長の魔法技能なら、百回どころか千回でも可能だろうな。まあこの真夏にドライアイス作ってから亜音速まで加速するのも相当なエネルギーが必要だが、魔法がエネルギー保存法則の埒外で事象改変を伴う魔法の負担が少ないと思っているだろう?」
「まあな、俺もそう思い言おうとしたがさすが一真。俺達が考えている事を先の先まで読んでいる。で、どういう意味なんだ?」
俺達はバトル・ボードの会場へ移動しながらだったが、謎かけのように俺は蒼太が脳量子波で話しているのを
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