暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【上】
七十九 綱手VSうちはサスケ
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


しかしながら流石『根』所属。なかなか尻尾を出さない上に、サイはサスケから目を離さない。
ある程度名族達の名が連なったところを奪うつもりらしく、虎視耽々と署名状を狙われる日々。
日々肌身離さず手許に置いていたサスケだが、問題は如何にサイの目を盗んで綱手に署名状を渡すかであった。

そこでカカシの助言の内にあった、シカマルの父であるシカクに協力を仰ぐ。これがサスケの不可解な行動に繋がるのである。


忍びの額当ては何処の里の出身かが判るように目印が施されている。木ノ葉の里出身ならば木ノ葉マーク。砂隠れや岩隠れなどもそれぞれ施された印にて判る仕組みだ。

しかしながら額当てには、何処の忍びかという判別以外にも用途がある。
それは中に仕込まれた、薄い鉄板。この鉄板は例えば千本程度ならば防ぐ事が可能である。
けれど鉄の板など入っているか傍目では判り難い。其処をシカクは指摘した。

即ち、鉄板の代わりに署名状を仕込み、その額当てを綱手に渡す事が出来れば良い。

だからこそ、わざわざサスケは綱手に闘いを挑んだのだ。
サイの目を盗み、如何に自然と額当てを渡すか。額に巻いている状態ならば気づかないが、手にする事で初めて額当てに鉄板が入っていないかが判る。
故に投げ捨てた額当てをそのままにサスケは病院の屋上を立ち去ったのである。
勿論サイに気づかれないよう、彼と共に。
その為に、あの場で最も頭が切れるシカマルに何度も視線を投げていたのだ。

一方のシカマルも事前にシカクから同期にも目を配るように、と忠告を受けていた。
以上から意味ありげな視線を受け取ったシカマルがサスケの意図に気づくのは至極当然。
そしてそれを綱手に手渡すだろうともシカクの読み通りに事が運んだのである。

夕陽に照らされ、鈍い光を放つ額当て。
鉄の板が入っていない為に厚みは無いが、無事に自らの役目を果たしたそれは今とても輝いている。

「署名状が決定打になったよ。五代目火影は綱手様だ。良くやった、サスケ」
「べつに俺は……」

照れているのか、ふんっと顔を背けるサスケを暫しカカシは微笑ましげに眺めた。
彼もまた上忍達に呼び掛けたという助力したが、最も有益となったのは名族達が署名した書状である。これがもしダンゾウの手に渡っていれば、彼が五代目火影になるのは確実だったが、サスケのおかげでそれも回避出来た。

くしゃくしゃ、とサスケの頭を撫でる。照れ臭そうな素振りをするサスケにもう一度笑い掛けると、カカシはその場を後にした。


カカシが立ち去った木の枝で、サスケはようやく肩の力を抜いた。自らが全うした事柄を思い返し、溢れる達成感に胸をいっぱいにする。
肩の荷が下りたと感じて、サスケは小さく呟いた。
「やったよ、兄さん…」

イタ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ