七十九 綱手VSうちはサスケ
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態勢を解いた。「行くぞ、サイ」と屋上から離れようとする寸前、ちらりとシカマルを見る。
サスケの意味ありげな視線に気づいたシカマルが声を掛けようとするが、それより先にサスケとサイは病院の屋上を後にしてしまった。
嵐の如くその場を掻き回した揚句、無言で立ち去る。てててっと綱手の傍に駆け寄ったナルが首を傾げた。
「サスケの奴、一体何しに来たんだってばよ?」
屋上にいる者誰もが思う事を代弁する。サスケの不可解な行動に唇を尖らせるナルの隣で、同意見なのか綱手がカカシに非難の目を向けた。
「お前の教え子はこの私に喧嘩を売りにきたのかい?」
綱手の問いに苦笑を洩らしつつも、カカシはサスケを弁護する。
「まぁ少々問題ありますが…あの子は無闇に闘いを仕掛けたりしませんよ。何か訳があるんでしょう」
「訳、ねぇ…」
サスケが去った方向へ視線を向ける。「どう見てもただの腕試しに来たようにしか見えないけどねぇ…」と呟く綱手に、何かを拾い上げたシカマルが声を掛けた。
「そうでもないみたいッスよ」
意外にも、サスケの行動には理由がある、と暗に告げたシカマルが綱手にある物を手渡す。
手渡された物を暫し怪訝な顔で眺めていた綱手だが、サスケの意図に気づくと、やがて愉快げに眼を細めたのだった。
「お前も不器用な性格だね」
そう言われるなり投げられたソレを、サスケは憮然とした顔で受け取った。
厚みを手で確認してから、ようやくつける。綱手によって残る赤味を隠すように額を覆うと、カカシが微かに笑った。
「…なんだよ」
「いや?しっかし、お前にしたら考えたね」
おどけてみせるカカシを横目で睨みつける。高い木の枝上で並んで座る彼ら師弟を、落陽が橙色に染め上げた。
眩しげに眼を細めたカカシの耳に、ぼそぼそとした声が届く。
「別に…。シカマルの父親の考えだ」
「ああ、シカクさんかぁ……」
若干遠い眼をしたカカシが「なるほどね、あの人の考えそうな事だ」と呟く。
五代目火影の就任式の準備に取り掛かっている里を、二人は揃って見下ろした。
サスケが綱手に勝負を仕掛けた理由。それは今現在、サスケの額にて鈍い光を放つ額当てにある。
ダンゾウの火影就任阻止の為にそれぞれ行動していたカカシとサスケ。
特にサスケは同期のほとんどが名門の嫡子故に、彼らの親である名族から署名を募っていた。だがその最中でサイという少年が接触してきたのだ。
以来、サスケにやたら付き纏ってきたサイ。シカマルから忠告を受けた故、カカシに報告しつつ、サスケ自身もサイには注意していた。
そこでサイの目的が署名状であると気づき、ダンゾウの息が掛かっている事実もカカシにより判明する。
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