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渦巻く滄海 紅き空 【上】
七十九 綱手VSうちはサスケ
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たサスケが印を結ぶ。下忍とは思えぬその印に、綱手は微かに眼を見開いた。

「虎の印!?」
「【火遁――豪火球の術】!!」
ごうっと迫る火球に、綱手は攻撃から回避に転じた。その機にサスケは彼女からある程度距離を取る。再びサイが口を開いた。

「残り、二十秒」

着地したサスケがすぐ傍ではためくシーツの一枚に目を留める。それを引っ手繰り、未だ空中にいる綱手目掛け、投げる。てっきりただの目眩ましだと思い込んでいた綱手だが、シーツの中に潜まれているクナイに即座に気がついた。咄嗟に身を捻る。かわし様にクナイを手にし、サスケに視線を戻す。

だがその時には既に、サスケは術を発動させていた。
「…っ、この術は!?」

耳朶を打つ、鳥の鳴き声。綱手の知る限り、この術を会得しているのはただ一人だけ。
一瞬狼狽する綱手に出来た隙をサスケは見過ごさなかった。
雷鳴に雑じって聞こえる、サイの抑揚のない声。

「残り、十秒」

地へ降りゆく綱手目掛け、一気に迫る。着地すると同時に突こうと、サスケは腕を伸ばした。
屋上の床が術の影響で抉れ、彼が走る軌跡を残す。
「――――【千鳥】!!」

光り輝く手が雷を伴って綱手を襲う。雷の閃光が彼女の身を包んだかと思うと、ぼうんっと白い煙が立ち上った。
一瞬唖然とするサスケが背後に気配を感じ、急ぎ振り向く。だがその時には綱手の指が額に迫っていた。
「ぐ……ッ!?」

物凄い衝撃がサスケの額一点に集中。刹那、思いっきり吹き飛ぶ身体。
地に足をつけ、踏み止まろうとするが、それでも衝撃は抑え切れない。なんとか体勢を整えたサスケは、この時になってようやく衝撃の出所がわかった。
ただのでこぴん。


戦慄を覚えると同時にサスケが悟ったのは完全なる敗北だった。
何時の間に来たのか。先ほど己がシーツと共に投げたクナイ。その切っ先を首筋に突き付けられ、サスケは耳元で囁かれた。
「下忍にしてはなかなかの動きだ。だが…―――」

首筋から離したクナイを綱手がくるりと回転させる。そうしてわざわざクナイの柄のほうを向け、サスケに手渡すのと、一分経ったとサイが宣言したのはほぼ同時だった。

「まだまだ甘い」











力量差を思い知る。
ぐっと喉を詰まらせながらもサスケが渋々クナイを受け取るや否や、綱手は唐突に声を上げた。

「カカシ!お前か、あの術を教えたのは」
「これでもそいつの担当なものでして…」

綱手の声に応じてひょいっと顔を出したカカシの登場に、それまではらはらと闘いを見守っていたナルがほっと安堵の息を吐いた。
自来也にでも呼ばれたのか、何の前触れも無く現れたカカシが綱手に会釈する。

一方、サスケはカカシの姿を目に捉えると即座に戦闘
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