七十九 綱手VSうちはサスケ
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敬していた猿飛ヒルゼンと同じ道を歩めるという誇らしさも健在している故に、綱手はジレンマに陥っていた。
だが火影になると宣言した手前、自来也やシズネには言い出しにくい。御意見番もダンゾウより綱手を支援しているため、綱手は胸に巣食うこの憂苦を誰にも打ち明けられずにいた。
そこで、せめて自分がこれから守らねばならぬ里を一望しようと考えた結果が、木ノ葉病院の屋上から街並みを見渡す事であったのだ。
「どうしたんだってばよ、ボーっとして。これから火影になるんだろ?しっかりしろってばよ!」
何も知らないナルが横から激励を飛ばしてくる。それをなんとなしに聞いていた綱手は視線をそのままに、不意に口を開いた。
「居場所、っていうのはなんなのだろうねぇ…」
ぽつん、と無意識に零れた一言に、ナルがきょとんと目を瞬かせる。我に返った綱手が慌てて弁解するより先に、ナルは「…難しいことはよくわかんないけど、」と自分の考えを述べた。
「居場所っていうのはその人が帰る場所の事じゃないかってば?」
思わずナルに顔を向ける。綱手の視線を受けながらも、ナルは拙い言葉を駆使して説明し続けた。
「ええっと…家族が帰る場所が家なのは、家族皆が集まる事が出来るからなんだろ?お父さんがいてお母さんがいてきょうだいがいて…。家が居場所なんじゃなくて、家族がいる所が居場所なんじゃないかってばよ?」
「…安心できる場所、ということかい?」
「そう!それだってばよ!たとえばオレだったら…その、家族はいないけど…サスケがいてサクラちゃんがいてカカシ先生やイルカ先生にエロ仙人…、シカマルだろ、ヒナタだろ、キバ・いの・チョウジ…。ええっと、とにかく仲間がいるこの木ノ葉が、オレの居場所なんだってば!!」
いっそ純粋なほどの故郷愛。
九尾の人柱力故に迫害されてきたにも拘らず、ナルは天真爛漫に一生懸命語る。
指折り数える彼女の眼は心なしかキラキラと輝いており、顔も自然と笑みを浮かべていた。
手振り身振りで大事な仲間達のことを話すナルの笑顔を見て、鬱屈していた心情が徐々に消えてゆくのを感じる。うじうじするなんてらしくない、と自らを叱責し、綱手は再び木ノ葉の里を俯瞰した。
今まで火影になる・ならないで悩んでいた自分が馬鹿らしい。
誰かの居場所になろうと思うならば、相手が帰りたくなる場所になれば良いのだ。
此処が自分の居場所だと安心できる所にすれば良いのだ。
その為ならば、火影になって木ノ葉をより良くする事が一番だと、ようやく彼女は本心から火影になる決意を固めた。
未だに友達や仲間について楽しそうに話すナル。内心礼を述べると、綱手はナルの背中を勢いよくバンっと叩いた。
「ほら。リーって子の病室に行くんだろ、案内しな」
「お、おうっ
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