第13話〜貴族と平民と〜
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宝飾店ターナーの店長、ブルックに挨拶をしてから店を出た一同は、実習を再開せんとしたが、何かを言いたげな表情をしていたユーシスは、ファミィに話しかける。
「ファミィ、お前の母親には会わなくていいのか?」
「・・・後で行くんだからいいわよ」
「フン、それもそうだな・・・」
今回の班分けは、別段ユーシスとマキアスだけが問題視されているわけではなかった。
ファミィもまた貴族に対して心を閉ざしているところがあり、ユーシスやリィンに対しては冷たい感じである。サラ教官に勝利した報酬としてA班の班分けを変えてもらえば良かったかと思ったが、クラス間の問題の先延ばしは、悪循環を呼ぶだけなので解決策を探すべくケインが頭を抱えていると、正面からある女性の声がした。黄緑色の髪が地に着くぐらいの伸びているが、手入れが行き届いているのか毛先まで艶やかだ。端正な顔立ちで、少し長めのまつ毛と鏡のように透き通る瑠璃色の瞳が印象深い。その女性の美貌にリィンやマキアスは見とれてしまっているようだ。エイドスが舞い降りたのではないかと言う考えがケインの頭にも一瞬よぎったが、そんな馬鹿な事はないと考え直して要件を女性に伺おうとしたその瞬間だった。
「・・・お、お母さん!?」
ファミィが驚きの声を上げ、彼女以外が眼前の女性がファミィの母親であることに驚き、二つの驚きが重なったのは。
「ファミィの母、ミセリィ・シェアラドールです。初めまして。ユーシス様も、ご壮健そうで喜ばしい限りです」
「・・・ふう、あなたも特別扱いしないでくれ」
「ふふっ、すみません。でもどうしてお戻りに?」
「ああ、その事だが・・・」
ル・ソレイユとは職人通りにあり、バリアハート産の毛皮で衣類を作るオーダーメード方式の仕立て屋らしい。良質で比較的安価な衣服を提供していることで定評な店だそうだ。その二階にて、ケインたちは店のオーナーたるミセリィの入れた紅茶をご馳走になりながら挨拶を兼ねて語らっている。まず、ユーシスがバリアハートへ帰郷した経緯について説明する。その話を聞いたミセリィは、興味深そうに大きな瞳を丸くしている。
「特別実習、ですか・・・最近の士官学校はそんなことも行っているのですね」
「まぁ、流石にトールズぐらいだとは思うんですけど」
ミセリィの感想に苦笑したケインは、それに答える。一同もそれに同意するかのように苦笑いを浮かべていた。その一体感が何となく微笑ましかったのか、彼女も口に手を当ててふふっとにこやかに笑う。
「それにしても・・・」
「?何よ?」
マキアスのふと口にした言葉に全員の視線がファミィへ向けられる。当人だけは怪訝な表情だ。しかし、彼らが共通して疑問に思うことがあった。この二人は本当に親子なのか、と。容姿の話で
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