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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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しているのか? 何故だ?」
「…………黙れ、絶対にころ」
口を塞いで滑らした頭を元の位置に擦り戻す。感触がゴリゴリと硬い物の擦過に変わった。どうやら傷が骨まで届いたらしい。
くぐもった男の絶叫に、蔵馬は言葉を重ねる。
「早く言えよ。これ以上人ん家の壁汚すな」
「わ、わかった……言う、俺らは斎藤美希を拉致るように言われたんだ」
「誰に?」
「親父にだよ!」
「親父……やっぱり暴力団かお前ら。それで、何人で来た? 人探しなら他にもいるだろ」
「若いの入れて八人だ……もういいだろ……早く放せ……」
「狙う理由までは聞かされてないよな。まあいい」
蔵馬は髪から手を放し、襟の代紋を毟り取る。そして男の後頭部に膝蹴りを入れた。
失神して崩れ落ちるヤクザをその場に残し、足早に立ち去る。
そろそろ騒ぎを聞きつけた地元住人か、通報を受けた警察がやってくる。ここは警察署から徒歩数分の場所である。
道を右往左往。数百メートル離れて、なんとか安全圏まで逃れた蔵馬は携帯を取り出す。
カメラで奪った代紋を撮影し、その画像を添付したメールを常盤に送る。
そしてメールに続いてダイヤル。
『蔵馬君か、今の画像は何だい?』
「ヤクザの代紋だ。どこのか分かるか?」
『ちょっと待ってね……大柳組だって。関西の暴力団扇組の直系だね』
「関西の? どんな連中だ?」
『詳しくは僕も知らないけれど、確か外国人の不法就労斡旋とかを主な資金源にしていたはずだよ』
「……そうか。分かった」
『どうしたんだい? 何かトラブルでも?』
「いや、大丈夫だ。助かった」
通話を切り、続いてモモの番号にかける。
『もしもし』
電話に出たモモの声は、荒い息が混ざっている。聞こえる音も何やら騒がしい。どうやら走りながら話しているらしい。
「モモ、今どこだ? 何してる?」
『えっとですね、何と言えばいいのやら』
「どういうことだ。状況を説明しろ。短く的確にだ」
『短く的確……斎藤美希を見つけました。そして』
そして、
『怖いおじさんたちに追われています』
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