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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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警察署から、坊主と、顔面に傷のある二人組の大男が出てきた。
人相が極めて悪く、スーツの襟元には揃いのバッチ。そして漂う血の臭い。明らかに堅気の人間ではなかった。
彼らから何かを感じ取ったのか、蔵馬は煙草を握り潰して携帯と一緒にポケットに入れ、彼らの後ろに追く。
男たちは蔵馬の追跡に気付かず、話を続けた。
「まさか話しかけただけで通報されるとはな」
「お前みたいな厳ついのに声かけられたら、誰でもお巡り呼ぶわ」
「黙れ、殺すぞ」
「ええから、早う探すぞ。ただでさえ無駄に時間使って食ってんねん。なんて名前やったか」
「斎藤美希。ったく、なんで俺らがこんなこと……」
「――おい」
人気の疎らな裏道に入ろうとする二人に、蔵馬は後ろから声をかけた。
二人は眉間に深く皺を寄せ、威嚇する猛犬のような容貌で振り返った。
「誰や兄ちゃん」
「あんたら、斎藤美希を探しているんだな?」
「だからお前誰や」
坊主の方が蔵馬の胸倉を掴んで、道路脇の民家の塀に押し付ける。
そして顔面を近づけ、瞳孔の奥を覗き込むようにして睨みつけてきた。
「斎藤美希の事、兄ちゃん何か知ってるんか? なら教えてくれんか?」
「訊いてるのは俺だろうが」
恫喝するような声色と手荒い扱いに蔵馬は嘆息。
周囲に通行人がいない事を確認し、そして器状にした右手で坊主の耳を叩き、鼓膜を割り裂いた。
蔵馬の先制攻撃に驚き、思わず胸倉の手を緩めた坊主。蔵馬は体を落としながらその手首を取って捻り、地面に投撃。
坊主の巨体がコンクリートに当たって歪み、苦痛の呻きを上げた。
そこに容赦なく、頭部に足裏でのスタンピング。頭蓋を強打し、坊主は気を失った。
「お前……!」
傷の男は咄嗟にボクシングスタイルの構えを見せた。
「俺の質問に答えてくれたら、俺はすぐに消えるんだが」
「殺す!」
傷の男は素早いステップで距離を詰め、ジャブを繰り出す。
モモの数倍は様になってる、良いジャブだった。が、蔵馬はそれを上半身の反りだけで躱し、間隙を縫って男の喉の手刀を入れた。
傷の男は気道を潰された激痛に動きを止める。
命取りの停滞だった。
側面に回った蔵馬は踏み込むような膝蹴りが男を跪かせ、低い位置に来た頭髪を掴む。
そして民家のコンクリート塀に顔面を叩き付けた。
「斎藤美希を探しているのか?」
再度尋ねる。
「うるせえ……絶対に殺す……!」
蔵馬は男の口を手で塞ぎ、顔面を横に滑らせた。粗い表面の塀が、男の顔の肉を削ぎ落す。苺の果肉のような小さな赤い塊が、塀にこびり付く。
「――――――!!」
「静かにしろ。そして答えろ。斎藤美希を探
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