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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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に教わっていない。あるいはこの席には既に先客がいたのだろうか。
モモは冷や汗を一筋垂らすが、少女はしどろもどろするモモの様子に吹き出した。
「まあいいや。あんた変わってるね」
「そうですか?」
「うん、普通そこに座らないし、そんなたくさんハンバーガーばっかり食べないよ」
山積みのバーガー類を指差して笑う少女。
モモは首を傾げながら、ハンバーガーを手に取って包装紙を剥く。そして一口。
「……おいしい!」
濃い味付けの薄い肉と味の薄いパサパサのパンがケチャップを伴って口の中で混ざり合い、条件だけなら不味いとも言えるはずの代物を、舌は何故か美味いと判断して脳に伝える。
大企業の幾星霜に渡る試行錯誤の末に作られた、脳に直接叩き付ける科学の旨味が、そこにはあった。
二口三口と美味しそうにハンバーガーを齧るモモを、少女は珍しそうに見ている。
「ハンバーガーをそんな美味しそうに食べる人初めて見た」
「だって美味しいじゃないですか。想像していた通りです。来てよかった!」
「想像通りって、もしかして初めてマクドナルドに来たの!? あんた歳幾つよ!?」
「半……十五歳です。私の住んでるところって、マクドナルドとか無いんですよ」
「へー、そんな場所が日本にあるんだ。あんた――同い年だしモモでいっか。モモってもしかして、滅茶苦茶田舎にある旧家のお嬢様だったりする?」
「滅茶苦茶田舎ではありますけど、旧家とかそういうのじゃないです。どうしてですか?」
「なんか雰囲気それっぽいじゃん。言葉遣い綺麗だし、見た目もザ・清楚って感じだし」
「清楚……」
モモはハンバーガーの一片を口に入れ、チーズバーガーの包みを剥がしながら鏡に映る自分の顔を思い出す。
思い出したところで自分の顔以外の何物でもなく、とりあえず顔を設計した技師が優秀だという事にしておこう。
「モモは今高校生だよね? それ制服?」
「私服です。私学校に行ってないんで」
「って事は中卒? このご時世にやるね」
「中卒でもないです」
「え、嘘、小卒!? そんなのあり得るの!?」
あり得ないだろう。
モモは言葉を返さずチーズバーガーを食い尽くして、てりやきバーガーに取り掛かった。
そもそもモモは教育機関など通ったことも無いし、生後半年なら行くとしたら託児所だ。
ただこれ以上の情報は出すべきではないと、頭の中で誰かに言われた気がして口を噤む。
何も言わないモモに、勝手に事情を想像して解釈した少女は神妙そうに頷いて、それ以上は聞いてこなかった。
「貴方のそれは制服ですよね?」
「そりゃそうでしょ。コスプレじゃ無いんだし」
「学校の帰りですか」
「んー
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