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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十二話 鶴声(後)
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が満ちる。領民の元気さに安心してか、クレインは軽く笑んでいる。
光る蛾が蛍のような光の粒になって空気に融けては消えていく。
「微精霊だ――」
すぐ近くまで来たフェイリオが、光の粒に手を伸べる。光はフェイリオの掌の上で踊り、やはり融けて消えていく。フェイリオだけでなく、イバルやローエンもやって来た。
「じゃあ、さっきまで俺たちが戦っていたのは、精霊だったのか……?」
「正確には、人から奪ったマナでココの微精霊がカッセーカ? して、それが集まって、あのカタチになったんだと思う」
イバルが俯いた。「何てことだ」という呟きが聴こえたのは――私だけのようだな。
「ヴィクトルさん。さっきはありがとうございました。あの援護がなければ勝てなかった」
クレインがやって来るなり、笑って右手を差し出した。私も右手を出す。握手が成立する。――笑顔で感謝を告げられるなど何年ぶりだろうか。
「俺としちゃ、シャールの若様があそこまで戦えたのに度肝抜かれたぜ」
アルヴィンが戻って来た。いつまでも握手していてはおかしいので、どちらからともなく手を離した。
「剣の手ほどきはローエンから一通り受けていますから。今回は不覚を取りましたが、次こそは」
穏やかな表情の中に確かにある、鋭いまなざし。アルヴィンも気づいたのか口笛を吹いた。
「その時はこのローエンもお忘れなく。我が剣の向きは常に主と揃っております」
「ああ。『その時』が来たら頼むよ、ローエン」
その時、か。実に意味深な会話だ。
「クレインさま、クレインさま」
「フェイリオさん?」
「あのね、さっき戦ってたクレインさま、カッコよくて――王子様みたいだった、よ」
「っ!」
待て。クレイン、そのリアクションはどういう意味だ? なぜフェイの笑顔にあからさまに顔を赤らめた。
アルヴィンとローエンも。後ろにいても分かるぞ。何をニヤニヤと笑っているんだ。
不愉快だ。まったくもって不愉快だ。
「戻るぞ。フェイリオ、可能なら他の民間人も治療してやれ」
「は、はいっ」
ぱっと離れるフェイリオとクレイン。そうだ。それでいい。
「手伝ってやる。治癒術は使えないんだろう」
「アリガト、イバル。助かる」
フェイとイバルが出て行ってからは黙々と作業を進めた。洞窟内に残された一般人を介助して外まで出してやる。
何度目かの往復で、イバルが薬草を煎じて被害者に与えているのが見えた。
「イバル、草採って来た。これで間違いない?」
「ああ…………こっちのは違うな。他は大丈夫だ」
被害者には外傷はほとんどない。深刻なのは、
生気
(
マナ
)
の枯渇。治癒術で外から引っ張り出すよりは、薬学や医学に頼っ
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