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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十一話 鶴声(前)
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じの元。それはありふれた洞窟の入口からしてた。
 中に入ると、精霊術で呪帯が張ってあって、侵入者(わたしたち)を拒んでた。

「旦那様!」

 ローエンが顔色を変えた。フェイの位置からは見えないけど、いるんだ、中に、クレインさまが。

「同じだな。ラフォート研究所にあった装置と」

 パパの言ったことに、どこかで、カチン、とスイッチが入る音がした。
 袖を片手で押さえて呪帯に手をかざす。本気で、いく。

「よせ! 手が吹っ飛ぶぞ」
「 と お し て 」


 パッ…キィィィィ…ィィィィン…!


 呪帯を構成した術式が砕けたのが分かった。よかった。これでみんな通れる、よね。

「よくやった。行くぞ」
「おたくの娘、規格外にも程があんだろ!」

 うわ、うわわっ。よくやった、って。パパがフェイの事初めてホメてくれた!
 って感動してるヒマないんだった。急いでパパたちを追っかけて洞窟に駆け込む。

 ――そこにあった光景は、コウケイは、こうけい、は。

 マナの奔流。人の生気を吸い上げる機械。ガラスの向こう、おっきなポットの中で呻いてる人たち。出してくれってガラスを叩いて、白目を剥いてひっくり返って、イタイイタイって悲鳴を上げて。



 マナが足りない。足りない。
 ヨコセ。ヨコセ。ヨコセ。ヨコセ。
 オマエのマナをよこせ。霊力野(ゲート)を持っている。オマエだけがワレラの糧を作り出せる。

 苦しめ。苦しめ。苦しめ。苦しめ。
 死に逝く同胞のイタミを知れ。殺される同胞の無念を知れ。

 ワレラと繋がれる霊力野をただ一人持つオマエが贖え。オマエの血肉で、生命で、悲鳴で、苦痛で。

 ワレラを生かす義務を果たせ。ワレラを殺した罪を償え。



 フェイリオ・メル・マータのココロをスコップで掘り起こした、みたいな、光景。

 アンナコト、ヲ、ココノヒトタチ、ニ、シテル、ノ?


「あれか――!」

 ダゥン!!

 はっとした。アルが天井に据え付けた緑の石を銃で撃ち抜いてた。石が砕け散ってすぐ、マナの竜巻は収まってった。

 ぺたん

 あ…足、力入んないや。へたり込んでるヒマなんてないのに。早くクレインさまとカラハ・シャールの人たち助けなきゃ、いけない、のに。

「フェイリオさん。大丈夫ですか」
「…ローエン…だめ、だよ、フェイのとこなんか来てちゃ…早くご主人様のとこ行ったげて。早く、解放してあげて。はやく。こんなとこ。おねがい、はやく、はやく」
「フェイさん……分かりました。ありがとうございます」

 ローエンはわたしの背中を優しく撫でてから、装置の出入口んとこに走ってった。アルと、パパもローエンを追っかけた。
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