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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十一話 鶴声(前)
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手だから。
 とにかくみんなでローエンに付いてった。




 シャール邸に向かう道の途中で、さっきまでのヨユウがウソみたいに、ローエンはわたしたちをふり返った。

「実は、皆さんにお願いがあるのです」
「お尋ね者のいる一行に? あんまり楽しい話じゃなさそうだな」

 ローエンはかなしそうに肯いた。

「先ほどイル・ファンのジランド参謀副長が屋敷に来られ、王命をもって街の民を強制徴用しました」
「……解せんな。カハラ・シャールもラ・シュガルの領地だ。カラハ・シャールが現政権に反抗的であることを除いても、軍のナンバー2が出張ってまで徴兵するものか?」

 パパの言ったこと、マルシアのおばちゃんも昔言ってたっけ。政治の交渉でどのポストの人を交渉に出すかはいつも悩むって。
 今回のは副長? だから、ナンバー2を出したってことだもんね。

「ヴィクトルさんのおっしゃるように、民の危険を感じた旦那様は、徴集された民を連れ戻しに向かわれました。……しかし、ナハティガルは反抗者を許す男ではない。今日までは旦那様も上手く駆け引きし、王の粛清を掻い潜っておられましたが」
「忍従の歳月を自らパーにしちまったわけか。シャール卿も青いねえ」

 ガマン、できなくなっちゃったんだね、クレインさま。
 自分の領地の人たちがアンナコトさせられるために連れ去られるなんて、フェイだってユルセナイ。
 フェイはイタイの慣れてるから、いい。でも、もし、もしパパたちがその立場になったら、わたし、きっと自分を抑えられない。

 ローエンは、ずい、と前に乗り出してきた。

「力を貸していただけませんか? クレイン様をお助けしたいのです」

 焦りと不安でいっぱいな、薄い抹茶色の瞳。こんなに、一人の誰かのために一生懸命になるローエン、見たことない。ご主人様がいた頃のローエンって、こんなだったのね。

(パパ)
(ジュードならここでどうすると思う?)
(え? ジュード……ジュードだったら、行く。ゼッタイ行く)
(私もそう考えていた)

 え。パパ、今、微笑った?

「分かった。協力させてもらおう」
「ありがとうございます――」
「礼はあなたの主人と住民を無事に連れ帰れてからにしてくれ。――アルヴィンもイバルも構わないな」

 二人ともオッケーしてくれた。イバルのほうはぶちぶち言ってるけど、一回イイって言ったんだから最後まで守ってよね。





 バーミア峡谷に入ってしばらく行って、気づいた。この気配、イル・ファンにいた時、ラフォートの近くを通ってたまに感じてた気配と同じ。

「こっちにいる」

 みんなを抜いて一番に出て、走った。みんな付いて来てくれた。パパも。

 辿り着いた気配の源。イヤな感
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