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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十話 妖精のお色直し(後)
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さまは笑って聞いてくれる。
 うれしいな。なんだか普通の女の子になったみたい。学校じゃトモダチいなかったから。

 楽しい、のに、パパは立ち上がって。

「そろそろ出発しよう、フェイリオ、イバル。――馳走になった、ドロッセル嬢」

 え。もう……行っちゃうの? こんなに楽しいのに、終わっちゃうの?

「いいえ。まだお帰りいただくわけには参りません」

 その声を合図にしたみたいに、客席を緑の鎧の兵士が取り囲んだ。え、え? なに?

「あなた方が、イル・ファンの研究所に潜入したと知った以上はね」

 クレインさま……さっきまでのやわらかかった声と全然違う。鋼みたいな、硬く、ツメタイ声。

「何のことかね」
「とぼけても無駄です。アルヴィンさんが全て教えてくれました」

 アル? そんな。味方になってくれたと思ったのに、何で。

「やはり彼か……軍に突き出すのか?」
「いいえ。イル・ファンの研究所で見たことを教えて欲しいのです」

 クレインさまが手を一振りすると、緑の兵隊さんたちは下がっていった。クレインさまが上座のソファーに座って、ローエンが斜め後ろに立った。

「……ラ・シュガルは、ナハティガルが王位に就いてからすっかり変わってしまった。何がなされているのか、(りく)()の人間ですら知らされていない」
「えっと、それは、クレインさまやローエンは知ってなきゃいけないことなの?」

 答えてくれたのはローエン。

「いけないことなのです。王家とはいえファン家もまた六家。立場は対等です。それ以上に、王がどんな(まつりごと)をしているかを知っておかねば、その政が悪いものだった時、誰にも糾せませんから」
「なんかムツカシイよぅ……」

 エレンピオスじゃ議会中継とかあったけど、わたし、キョーミなくて観なかったし。クラスの子たちも、どの政治家がどんな事しててもどーでもいい、ってカンジ強かった気がする。
 そもそも政治なんて、誰がしててもフェイを〈温室〉の中から出さないのは同じだったもん。

「承知した。我々がイル・ファンで見聞きした事を話そう。後の判断は任せる」

 パパはすらすら説明する。前もってこうなった時のために考えてたみたい。ラフォート研究所で、ミラさまと一緒に経験したコト。ミラさまじゃなくてフェイが一緒にいたことにして。

 フェイが間違えちゃったせいで、ジュードを運命から弾き出して、ミラさまが囚われてしまったあの夜の出来事……

 思い出しちゃダメ、フェイリオ。わたしはもうあそこにいないの。ちゃんとするって〈ジュード〉と約束したの。カコのイタミに引きずられてワレを失って、〈ミラ〉みたいな犠牲を出すことがないように。

 パパのお話が終わる。
 ローエ
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